スイスポのカスタムのオススメ、土屋圭一氏監修ホットハッチがアツい

新型スイスポことZC33S型スイフトスポーツはカスタムしたらワインディングやサーキット走行を楽しめるのか。

この記事では、ワインディングを走るのが好きな方や、サーキットを走りにいく”運転”が好きな走り屋目線で、スイスポことZC33Sは”走り”のカスタムベース車両として良い車なのか、そんな目線でレビューしていきたい。

カスタムする車選びの時の検討材料と言えば

  • 社外のカスタムパーツの有無
  • 車両自体の金額とパフォーマンス
  • 壊した時の純正部品の確保のしやすさ

と私は考えている。

これからサーキットデビューも視野にいれて車選びを行うのであれば、上記の項目を考慮しながら車を探すと良いだろう。

実は今回ご紹介するスイスポは上記の検討項目を全て解決してくれるうってつけの車なのだ。

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スイスポを勧める理由

勧める理由としては基本的に先ほどお話ししたサーキットユーザーや走り屋目線での検討項目を網羅出来ているからである。

まずはそれについて解説していこう。

故障時の純正部品の確保がしやすい

スイスポは2017年に販売が開始されて、2023年現在は新車で購入することができる。

車は販売終了後から、10年程度経つと徐々に純正部品の新品が手に入らなくなってしまう。

これは熱害やハードな走行により、車が壊れやすいサーキット走行ユーザーにとっては大きな問題だ。

スイスポは車が新しいので、しばらくは部品は確保できるだろう、さらに言えばスズキは比較的部品供給が続くので、いま手に入れれば長く乗ることも出来るだろう。

社外製のカスタムパーツの有無

サーキット走行やワインディングをハードに走ろうとすると、優れた高級車であっても、ブレーキを筆頭に、冷却系パーツなどを強化品に変える必要性が生まれてくる。

そのようになってくると自分の目指すタイムや実力に応じて、社外製の強化品を装着必要がある。

しかしながら、全ての車種に、サーキット走行を満足に行えるパーツが揃っているわけではない。

しかしながら、スイスポは車種が新しいことと、現在は限り少ないライトウェイトスポーツカーということもあり社外部品が豊富だ。

それに加えて人気車種なこともあるので中古の手に入れやすい価格帯の部品もよく出回っている。ホイールもZC31S型からPCD:114.3の5穴に変更されたこともあり中古新品共にホイールを選びやすい。

車両自体の金額とパフォーマンス

車の購入にあたって金額は一番最初に悩むことだろう。通常の走行よりも遥かにお金の掛かるサーキット走行を視野に入れると、購入時の性能とコストのバランスを慎重に考えなければならない。

まずは車体自体のパフォーマンスだ。

最近の車は安全装備であったり居住性の確保のために車体が大きくなってしまい、重くなりがちだが、スイスポはATなら990kg、MTなら970kgと現行車の中では非常に軽量な車体となっている。

また、エンジンは1.4Lターボ、馬力 140さPS/トルク23.4kg/mと純正でもこれからモータースポーツを始める人にはちょうど良いパワーと言えるだろう。特に1トンを切る車体に、23キロを超えるトルクというのは、非常に魅力的だ。

サスペンション形式はF:ストラット方式  R:トーションビーム方式を採用しており、ボディは、スズキの新プラットフォーム「HEARTECT」を採用している。フレームの曲部や繋ぎ目を緩やかに接合することで基本性能の向上と軽量化を果たしており、先代ZC32Sと比較で80kg近くの軽量化を果たしながらもボディ剛性をしっかり確保しているのだ。

これだけのスペックを持ちながらも新車価格は200万円を切る。軽自動車でも200万円近くする令和において非常にお手頃な金額となっている。

さらに、中古車は平均価格143.9万【goo net参照】ほどとなっている。まさにサーキット走行を前提とする車両としては、非常に魅力的な価格帯だ。

売れている車種なのもあり、中古車市場では自分の欲しいスペック・色など選びやすい車種となっている。

豊富なカスタム幅

車をストリートやサーキットで遊んでいく上で気になってくるのがカスタムパーツだ。

外装や内装、走る上でも足回りやパワーアップ、さらにはLSDやクラッチ等の駆動系、などやりたいことは山ほど出てくる。先ほども話した通り、スイスポはカスタムパーツが山ほどある。ショップによってはコンプリートカー(既にカスタムされた状態の車)なども販売しており、自分で部品選びが難しい人も始めやすい。

この様にスイスポは沢山の品が出ているため、サーキットのグリップ走行から、ラリーやジムカーナまで、どのような用途でも何でも出来る。

色々なメーカーから色々な部品不足で困ることはないだろう。

スイスポをレンタルできるレンタカー屋「おもしろレンタカー」

車選びに悩んでいる人はスイスポがどのような車なのか気になるし、既に持っている人はどのようにカスタムしていくのか、部品の豊富さも相まって悩むことだろう。

おもしろレンタカーではノーマルのスイスポと、既にカスタムされたスイスポも両方レンタルすることができる。なんとこのレンタカー、土屋圭市氏監修モデルとなっており、土屋氏アドバイスの元、要所に手を加えられたモデルとなっている。

カスタムされたスイスポのスペックは下記の通りである。

主要装備品

  • HKSマフラー Hi-Power SPEC-L Ⅱ
  • ワークアルミホイール 極
  • 機械式LSD CUSCO Type RS 1way 620 F
  • BRIDE ZETA Ⅳ職人モデル
  • アールズRRP強化フロントロアアームブッシュ(品番:S33-307)
  • KW車高調整式サスペンションキット(バージョン3)
  • ディクセル前後ブレーキローター(SD)、
  • ディクセル前後ブレーキパッド(Z)
  • タイヤ ミシュランパイロットスポーツ5
  • リヤアライメントをキャンバー増し方向
  • トー0方向へシムを使い調整しています。
  • フロントロアアームは当て板を溶接して強化しています。(LAILE製)
  • シフトリンケージのシフトノブ側及びミッション側のブッシュを強化品に変更済

レンタカーでカスタムカーというだけで珍しいのに、ライトチューンではなく、考え抜かれた本格的なカスタムがされたマシンだった。このマシンはスイスポのポテンシャルを感じる一台として、今後カスタムしたい人にはとても良いカスタム例だと感じた。

土屋圭市氏監修スイスポの試乗 街乗り〜高速道路

まず最初にカスタムカーときくと、乗り心地を心配する方が多いだろう。

だが全くといっていいほど不快な突き上げ感などは無く、カスタムカーと聞いて想定していたよりも乗り心地が良い。

ノーマル状態よりも乗り心地がよく、おさまりも良い。

路面が荒れやすい産業道路特有の大きめの段差を踏んでも車内は静寂であった。踏切のような大きな段差を一発で跳ねが収まる。乗っていて全然不快感がないのである。

むしろ純正のフワフワ感が全然ないおかげで純正より乗り心地が良いとも思える。

これなら下道での長距離運転も疲れなさそうである。

スイスポの素性の良さや、ボディ剛性の高さが、社外製の車高調に変えることでより明らかになっていた。またフロントのロアアームの溶接補強が大きく貢献しているように感じた。

まず最初に気に入ったのが、車に乗り込んですぐに体にフィットしたBRIDE製の土屋圭市氏監修のフルバケだ。体のホールド感がとても良い。また腰痛持ちの私でも腰の角度に違和感がなく違和感がなかったのが印象的であった。

ホールド感のあるシートを使用するとスポーツ走行中の体の位置を固定できるので、走行中に余計なことを考えずに走ることに専念できる。また純正の椅子からフルバケに交換すると椅子自体の軽量化になったり着座位置が下がることから重心の低下にもつながる。

さて、街乗りだが排気音が程良い。

うるさ過ぎると会話の妨げにもなるし不快に感じることもある。

逆に静か過ぎればマフラーを変えた心地があまりせず、満足感がないだろう。

その点このマフラーはアイドリングからうるさいといったこともなく走っていても会話は余裕で可能だ。それでいて高回転まで渡すときっちりエンジン音が聞こえて満足度がとても高い。

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土屋圭市氏監修スイスポの試乗ワインディング

さて、おまちかねのワインディングだが、率直な感想は「扱いやすい速さ」である。

フルバケも先程と感想は一緒だがやはりフルバケがあると体が安定している分、視界も安定してくるので安全に乗れる。

足回りだが、正直言ってこんなに安心してワインディングを流せるとは思っていなかった。街乗りのバンプの収まりを道の悪いワインディングでも発揮してくれる。ある程度速度が乗ってきても一発で跳ねを抑えてくれる。それでいてピッチング・ヨーイング・ローリングに対してもちゃんと荷重が移動しているのがわかりやすく、硬くはなっているが機敏に動いてくれているおかげでとても扱いやすい足回りになっている。また、リアキャンバーがシムによって変更されていることもありトーションビーム特有のリアタイヤの接地感の無さも改善されていた。

また驚くべきは、ステアリングを切ってからのリア追従性がとても高いことだ。切った瞬間に、リア側までしっかりとインを向くので、思い通りのライントレースが行なえた。これはサーキットやワインディング、ラリーなどでも大きな武器になるように感じた。

続いて気になるのはデフだが、程よく効いている。FFは1wayか1.5wayが王道だが、今回のスイスポは上記の通り1wayが組ませれている。1wayだと効きを強くしていくとオンオフの差が激しくなり車の挙動が安定しないことがあるのだが、そこまで極端に強く効かせていないこともありコーナーの途中で急なオンオフを繰り返しても急な挙動変化はなくマイルドなセッティングになっている。

フロントにキャンバー角がついているのもあってかデフが効いてきたときにフロントがグイグイと内側に入り込みながら前に進もうとトラクションがかかっているのがよくわかる。

ここまで思い通りのハンドリングやコーナリングスピードを実現しながら、安心したドライビングをスイスポが提供してくれるとは思ってもいなかった。

まとめ

今回はスイスポが今後カスタムを考えているユーザーにとって、適切な選択肢であるかどうか。という観点から解説を行ったが、スイスポが近年稀に見るカスタムベースとして優れていることが伝わっただろうか。

SUZUKIが車好きに届けてくれたプレゼントといっても過言ではない一台だ。

たしかに欲をいえば、EK9のようなエンジンの気持ちよさを求めたくなる気持ちはよく分かる。しかしながら、令和の厳しい環境規制や安全基準を満たしながら、新車200万円以下という金額で物価高のいまにデリバリーしてくれているのは企業努力の賜物だろう。

また、カスタムをして”速さ”を求めていくと快適性というのは段々無くなっていくものだが、今回のスイスポは快適性と速さを両方兼ね備えたある意味とんでもマシンである。

街乗りもうるさ過ぎないし足も硬すぎず大人しい。それでいてワインディングやそれこそサーキットなど持って行っても特に不便なく走行することが可能だろう。

どんなに車を速くしたいと思ってもある程度の快適性は残っているべきでそれを無くしてしまうとその車に乗ることが苦痛になってしまったり億劫になってしまうものだ。

自分にとってどのようにカスタムしたいのか、どこでどのように車を走らせたいのか、何が不要で何が必要なのか。そういった選択肢に迷った時にぜひこのレンタカーを借りてみてほしい。とても参考になる一台となるだろう。

これに乗った上で何が足りない、こうしたい。と言った目標が見えてきたらカスタムしてみるのもいいかもしれない。スイスポの部品の豊富さならその目標を叶えてくれるだろう。