BRZの魅力とは?

BRZ

スバルのFRスポーツカー「BRZ」は、トヨタとのコラボレーションにより誕生したモデルで、軽快なハンドリングと水平対向エンジンの独特なフィーリングが魅力である。

2012年にスバル初の後輪駆動車として登場し、その後毎年改良が加えられてきた。特に2020年モデルは完成度が高く評価されており、スポーツカーを操る楽しさを追求したい人々にとって注目の一台となっている。

この記事では、そんなBRZの魅力や開発背景について紹介していく。

BRZ(ZC6)の開発背景

トヨタとのコラボレーションにより、2012年に登場したスバルの量産車初のFR(後輪駆動)モデル。毎年改良が加えられ、特に2020年モデルは完成度が高いと評価されている。

スバル・BRZは、2012年の3月にスバル初の後輪駆動専用モデルとしてリリースされた。当時提携関係にあったトヨタとのコラボレーション・プロジェクトにより生み出されたモデルで、トヨタ・86(ZN6型)とは兄弟車の関係にある。

開発はトヨタとスバルの共同でおこなわれ、製造はスバルがおこなうという体制となる。スバルの象徴とも言える水平対向ボクサーエンジンを基に、FRレイアウトのライトウェイト・スポーツカーとして開発された。

兄弟車のトヨタ・86と基本構成は共通だが、外装や走行性能、安全装備などのキャラクター設定は異なり、乗り味に違いがある。

BRZは86と共に、毎年改良が加えられ、2012〜2015年が前期型、2016〜2020年が後期型に分類される。毎年の改良の結果、ZC6型の最終モデル(H型)では熟成が極まったとの評価も見られた。

関連記事

2012年に小型FRスポーツカーとして登場したトヨタ86は、スバルとの共同開発によって誕生したスポーツモデルだ。よって、スバルにもBRZという兄弟車が存在する。本記事では、トヨタ86とスバルBRZの違いについて解説していく。 トヨタ[…]

BRZの特徴

スバル・BRZは、トヨタとのコラボレーションによって初めてFRレイアウトに割り切ったスポーツモデルとして開発がおこなわれたモデルだ。 

「Pure Handling Delight」をコンセプトに開発

開発のメインテーマは「水平対向エンジンをより低い位置に搭載した「超低重心パッケージング」が生み出す高度なハンドリング性能により、誰もがクルマを操る愉しさと悦びを感じることのできるモデル」というもので、「Pure Handling Delight」というキーワードでその意図が表されている。

これまでは、長年培ってきた4輪駆動技術とボクサーエンジンを組み合わせた独自の強みを活かし、ラリーシーンで活躍してきた。しかしこのトヨタとのコラボにより、スバルでは初となるライトウエイト・カテゴリーのFRレイアウトという、スポーツカーのど真ん中である構成の車種をリリースすることとなった。

水平対向エンジンを搭載

エンジンはスバルが長年活用し熟成し続けてきた水平対向4気筒のボクサーエンジンを採用。しかしこれまでの4輪駆動×ラリーという構成とは異なり、スポーツカー本来の気持ちよさを重視した乗り味にフィットさせるため、高回転型のエンジンを新たに開発することとなった。

ベースは既存のFB20型を活用するものの、高回転の特性を考慮してボア×ストロークは86mm×86mmという構成となり、オリジナルのシリンダーヘッドとトヨタの直噴・ポート噴射併用技術「D-4S」を組み合わせ、ベースとは異なる性能を持つエンジンに仕立てられた。

型式名はFA20型となる。スペックは以下の通り。

  • エンジン:FA20型 1998cc水平対向4気筒 DOHC 直噴
  • 最高出力:207ps(152kW)/7000rpm
  • 最大トルク:212N・m(21.6kgf・m)/6400〜6800rpm

高回転特性を追求したため、中高回転でのふけ上がりの気持ちよさは高く評価されている。一方で、低速域のトルク不足により、街乗りでの発進時に気を遣うという意見も散見される。

この点は改良によって後期モデルではかなり改善されている。

快適なドライブを実現する安全性能

BRZはスバルが誇る安全&運転支援のシステムである「EyeSight」を6MT以外のグレードで装備している。姉妹車のトヨタ・86では一部グレードのみの設定。

「EyeSight」はフロントウインドウ上部に装着された2台1対のステレオカメラで障害物を立体的に捉え、自動ブレーキなどのアクティブセーフティ機能に活用するシステムだ。

また、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどの高精度な「運転支援システム」はユーザーからの評価が高く、他メーカーの同機能では満足できないという声も聞かれる。

BRZの中古車価格は?

BRZの中古車価格の相場は、概ね100〜250万円が中心となっている。基本的に年式が古いほど安くなる傾向があるが、車の状態や装備、グレード、カスタム内容などの影響も大きいため、一概に年式が価格の指標とは言えないだろう。

全体的に見ても手頃な価格でスポーツカーを購入できるため、カスタムベースやサーキットユースを考えている人には非常に魅力的な車種だ。

ZC6型の後期モデルであれば、モデルチェンジ後のZD8型とエンジン以外の構成は大きな違いがないため、エンジンのトルク特性を重視しないのであれば有力な選択肢となるだろう。

BRZはどんな人におすすめか?

ずばり、ZC6型のBRZをおすすめしたいタイプは、スポーツカーを操る楽しさを堪能したいと考えている人だ。

加速性能だけを比較すれば、ハイブリッドやEVでBRZを上回る車種は少なくないが、高回転型の自然吸気エンジンがもたらす回転フィールの気持ち良さは、それらのエコカーでは味わえない。

その反面、燃費は決して良いとは言えないが、スポーツカーらしい走りを求めるなら妥協が必要だ。その点を割り切れるならおすすめできる。また、スバルというメーカーが好きな人にも、BRZの乗り味が刺さる層が一定数いるだろう。

これまで4輪駆動をメインに乗っていた人には、ぜひこの高回転仕様のボクサーエンジンのフィーリングを味わってもらいたい。現在、自然吸気の高回転型エンジンを搭載したFRスポーツカーの選択肢は非常に限られている。

さらには現行モデルがバックオーダーを抱えていて、BRZの生産終了とのウワサも流れている今、試乗するのもなかなか難しいというのが現状だろう。

もしBRZが気になっているなら、レンタルして存分にその魅力を確認できる「おもしろレンタカー」の利用をおすすめしたい。