昔は維持費が高いといわれていたが、実際にR35GTRの維持費は高いのか、安いのか?
ディーラーでフーガの9倍覚悟してください。といわれていたという噂もあるが、それは純正タイヤなどを使った場合、最近は安くできるとも?
初期モデルの770万円でも国産車としてはかなりの高額な部類と思われていたが、最新モデルでは2000万円近くまで価格が上がってしまったR35GT-R。もはや簡単には手の届かない存在となってしまった感もある。
しかし、発売から18年が経過しているため、中古車であればまだ手が届く価格帯の個体を探すことは可能だ。それを探し当てて購入するとして、気になるのは維持費である。
ディーラーでの整備や修理は海外のハイパフォーマンス車に迫る額とも言われているが、その一方で社外のパーツや扱えるショップも増えている。
ここでは年間にかかる維持費の試算と、その額を抑えられるのかどうかについて考えてみよう。
GTRの年間費用の内訳
まず維持費に関する項目を分類してみると以下の6つになる。
- 車検代と自動車重量税
- 自動車税
- ガソリン代
- 自動車保険料
- 駐車場代
- メンテナンス代
それぞれの項目についてカンタンに説明していこう。
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車検代と自動車重量税
車検の費用は、手続きに掛かる法定費用と、整備や点検、車検業者の代行料などの車検基本料に分かれている。
法定費用というのは自動車重量税、自賠責保険と、手続きに掛かる費用として印紙代が含まれる。
車検基本料というのは主に車検の業者に委託する際の費用で、車両が検査に通るように点検と調整、整備をおこなう費用と、車両の検査を受けるための代行料が主な内容となる。
法定費用は必ず支払わなくてはならないが、車検基本料の方はユーザー車検などで節約することは可能だ。
(車両重量:1730〜1785㎏ エコカー減税非対称)
・法定費用
自動車重量税:32,800円 (2011年以前:45,800円 / 2007年:50,400円)
自賠責保険料:25,830円
印紙代:2,300円
合計:60,900円 (2011年以前:73,900円 / 2007年:78,500円)
自賠責保険料と印紙代は普通自動車の固定金額だが、最初期モデルでは重量税がMAXとなる18年経過車両に該当し、2011年以前のモデルは13年経過車両に該当するため、重量税の金額は年式による違いに注意。
※車検を業者に任せる場合は、これに5〜10万円がプラスされる。
自動車税
自動車税・とは、年に一度、車検証に記載されている自動車の所有者に課せられる税金。
正確には、令和元年の改正法で、それまでの自動車税という名称が自動車税種別割に変更された。
毎年5月くらいに支払い用紙が送付されてくる。
R35GT-R(2019年9月以前)の自動車税(種別割)
排気量3500cc超~4000cc以下:66,500円/年 (2019.10以降登録:65,500円)
2019年10/1以降に登録された車両は引き下げ対象だが、R35GT-Rは対象外なので満額となる。
ガソリン代
近年大幅な値上がりでクルマのオーナーを悩ませているのがガソリン代だ。
R35GT-Rに搭載されるVR38DETT型エンジンはハイオク仕様のため、その費用はさらに大きくなる。
燃費はカタログ値で、10・15モード燃費が7.8〜8.7km/ℓとなっているので、それを元にした中間値の8.3km/ℓ計算してみる。
ハイオクの価格は日々変動しているが、ここでは平均を想定した値として180円/Lで設定する。
走行距離の平均は年間1万kmとされているが、R35GT-Rはスポーツ車なので週末の稼働がメインと考え、3割ほど少なく見積もって7千㎞/年とする。
7000÷8.3×180 = 151,807円
実際の燃費はカタログ値と大差は無いと言われているので、計算結果の15万円を基準にして、実際の走行距離で補正してもらえば実際の燃費が計算できる。
ちなみにアクセルをガンガン踏む場合は1.5倍以上に増えると思っておいたほうがいいだろう。
自動車保険料
自動車を運行する際に必須となるのが損害保険。
保険には加入が義務づけられている自賠責保険と、加入するかどうかは自分次第の任意保険の2種類がある。
自賠責保険は車検の費用に組み入れるので、ここでは任意保険について考察していこう。
任意保険には保険会社の設定でいろいろな商品に分かれているので、その保険料は様々だ。
基本的な、対人+対物+搭乗者を補償するパッケージがメインだが、そこに車両保険などのオプションを組み込むと料金はまた変わってくるが、ここでは基本パッケージに限定する。
また、無事故の期間が長いほど割り引かれる等級制度や、運転者の年齢による違い、そして統計的に事故が少ない車両の価格設定が低くなる制度などがあるので、保険料は実際に見積もりを依頼しないとハッキリしない。
ここではザックリと、CMでおなじみの保険会社の一般的なパッケージで考えてみよう。
R35GT-Rの任意保険料
これは飛ばす人が多いという設定の車種なので、ベース価格は高めとなっている。
価格の開きは、保険料が安いダイレクト型保険と、国内保険会社の見積もりの差。
等級的には、年齢が高くなり、無事故歴が多くなれば割引率が多くなるので、乗り続ければ下がっていくだろう。
駐車場代
登録上、車庫証明が必須となっているので、駐車場の費用は維持費の計算には欠かせない。
自宅にスペースがあれば費用はゼロで済むが、都心の駅近の住まいであれば、その近辺に駐車場を借りなければならないので、その費用はけっこうな額となるだろう。
さらには中古でも600万〜1000万円以上はする高額車なので、盗難のリスクを考えると青空駐車場では不安だという人は多いだろう。
R35GT-Rは車幅が1900㎜弱というワイドサイズ。都心の立体駐車場は事前の確認が必要だ。
場所によっては断られるケースもあり得るが、派手なエアロを装着していたり、車高を落としていたりしなければギリギリ利用はOKと思われる。
費用は地域でかなりの開きがあるが、ここでは屋内タイプを想定しておおよその費用を出しておこう。
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- 都心:50,000円〜150,000円/月
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- 都市近郊:30,000円~70,000円/月
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- 郊外地域:15,000円〜40,000円/月
これは月の金額なので、年間で見ると最低額で180,000円、最高額では1,800,000円という大きな差になってしまう。
平均的な額としては360,000〜1,000,000といったところだろうか。
メンテナンス代
車両は走れば走るほどパーツが消耗し、使用限界がやってくるので、定期的な点検と部品の交換が必要。
R35GT-Rは500psを軽く上回る高性能車のため、チューニングされたエンジンのように、部品の消耗やダメージが大きいと思われている部分もあるだろう。
しかし実際はサーキットなどでガンガン踏み倒しても10万㎞保ったという話も聞かれるくらいタフネスさが特徴のエンジンなので、エンジンのオーバーホールに関してはあまり心配は要らないと考える。
ただし、年数が経過した車両の場合は、熱に晒されたゴムや樹脂パーツから劣化が始まるので、水漏れやオイルにじみなどの対応は考慮したほうがいいだろう。
しかしその一方で、高出力を発生し、300㎞/hを想定したクルマづくりがされている車種なので、個々のパーツの価格は一般の国産車の感覚よりもかなり高額だと考えておかなくてはならない。
もちろん、タイヤやオイルなどの消耗品も高額だ。
また、R35GT-Rをメンテ出来る整備工場はそう多くはなく、専門の知識と設備が要るケースも多いので、工賃も高額になることが多い。
それを踏まえて、年間のメンテナンス費用を試算してみた。
- エンジンオイル交換(1年で1回 5Lで計算):約25,000円
- オイルフィルター交換(オイル2回で1度の交換):1,000円
- ミッションオイル交換(2年で1回 10Lで計算):約35,000円
- ラジエタークーラント液(2年に1回):1,000円
- ドライブシャフトブーツ(5年で1回):4,000円
- エアフィルター交換(2年で1回):10,000円
- エアコンフィルター交換(5年で1回):5,000円
- タイヤ交換(3年に1回):150,000円
- その他消耗品代:30,000円
+作業工賃:50,000円合計金額:311,000円/年
R35GT-Rは初期モデルで18年が経過している。エンジン自体は高い耐久性があると評判なのでオーバーホールの心配は少ないだろう。
しかし補機類や消耗品については気を使わなければならない状態の個体も多いだろう。
メンテ費用のうちの割合を占めているのは、油脂類の交換と、タイヤ交換の費用だ。
オイル交換を渋るのはエンジンの寿命をダイレクトに損なうのでオススメしないが、タイヤについては街乗りメインでそれほど飛ばさないという場合は節約できるポイントとなるだろう。
R35GT-Rの年間費用の内訳
R35GT-Rのそれぞれの費用が出揃ったところで、年間の費用として集計してみよう。
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- 車検代と自動車重量:60,900円
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- 自動車税: 66,500円
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- ガソリン代 :150,000円
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- 自動車保険料:100,000円
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- 駐車場代:500,000円
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- メンテナンス代:310,000円
この額だけを見るとかなりの金額に思えるし、この額をポンと支払える人もそれなりに限られてくるだろう。
しかし、世界に誇るハイパフォーマンス車に乗って、街乗りからサーキットまでの幅広いステージでの走行を思いっ切り楽しめる費用として見れば、けっして高すぎるというわけではないと思える。
扱いに慣れてくればそれぞれの費用は節約できると思うので、永く乗るつもりで考えよう。
維持費を抑えるコツ
車両の維持管理については、工夫次第で抑えることができる。
主な方法をピックアップしてみよう。
ディーラー以外での整備
R35GT-Rのメンテに関しては、ディーラーに任せるのが最も安心で確実なのは間違いないだろう。
しかしこの車種の整備に特化した「日産ハイパフォーマンスセンター」は全国で160箇所のみ。しかも整備の費用も高額だとされている。今では巷のチューニングショップでもノウハウを蓄積しているところが多くなっているようなので、まずは近くのショップを探して問い合わせてみるといいだろう。
場合によっては半額以下でメンテや修理が済ませられるかも知れない。
社外品の活用で維持費を安くしながらチューニングも楽しめる
修理やメンテの際に交換する部品を、思い切って社外品に替えてしまうという方法もある。
この場合は製品の品質の見極めが必要になるが、純正品よりかなり費用を抑えることができる場合も少なくない。
例えばブレーキパッドなどはいろんな種類が出回っているので、価格や用途に合ったものを選ぶことができる。
機能パーツ以外でも、内外装の部品はイメージが変えられるのでリフレッシュ効果も期待できる。
タイヤ代の削減
メンテ費用で多くの割合を占めるのがタイヤ交換費用だ。純正では高性能なランフラットタイヤを採用していることもあり、1本10万円+工賃という価格になり、財布事情が寂しいときは交換を見送りたい気持ちになることもあるだろう。
そこで、割り切って純正指定以外のタイヤを選んでみよう。ハイパフォーマンス車なので、さすがにアジア系の格安タイヤは不安だが、それほど飛ばさないというなら、国産の中級タイヤでも性能は充分な場合がある。価格も純正の半額の5万円台くらいから選べるようだ。
性能を考えると維持費は割安
GTRの性能で比較するとライバルになるのは、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェGT2RSなどのスーパースポーツカーとなる。
それらにくらべると日産なので壊れにくく、維持費はやすい。だが、このようにR35GT-Rの維持費を見てみると、国産車の中ではけっこう高額だと印象はぬぐえない。
だが、同じレベルのハイパフォーマンス車を見ていくと、例えばポルシェ・911ターボやGT2、フェラーリ・F430やF458などのV8シリーズ、ランボルギーニではガヤルド、そしてニュルでの最速争いのライバルとして忘れてならないシボレー・コルベットZR1辺りがライバルと言えるだろうか。
車両価格で見ると、ざっくりR35GT-Rの1.5倍から2倍であり、それと比例してメンテや補修のためのパーツ代も高額になっている。
さらに専門の知識や技術が要るということで、工賃も国産より割高になる。
そして、評判を聞く限りは、エンジンや駆動系などの各部の耐久性やトラブルの起きにくさは、
圧倒的にR35GT-Rに軍配が上がるようだ。もちろん海外のハイパフォーマンス車は独自の魅力があり、他では代え難い存在として見ているファンも多いので、性能だけ並べて優劣は付けられないが、
それらのライバル車と同等以上の性能を発揮して、しかも気兼ねなく乗り回せるという部分をアドバンテージだと考える人も少なくないはずだ。
そのアドバンテージが魅力だと思える人にとっては、この維持費の低さは大きなメリットだろう。
まとめ
筆者は以前、R32型のGT-Rに乗っていたことがある。その時も一般のSUVやセダンに乗っている人たちから見たら、維持費は「ありえない!」という額ではあった。
しかしこうして改めてR35GT-Rの維持費を目の当たりにすると、当時のサーキット仕様にハイチューンされた32GT-Rに近い額で驚かされる。
しかしR35GT-Rの場合は、その車両で本気のサーキットアタックから、彼女や奥さんとの買い物やドライブも安全・快適におこなえるという大きなオマケが付いている。
そう考えると、この高額な維持費も充分以上にメリットに見合ったものだと思える。
稼ぎがたっぷりあるならば、1台手元に置いておきたいクルマである。