2005年~2007年に販売されたランエボⅨ(ランエボⅨMRを含む)、そのあと2007年10月にランエボXが販売され第四世代へと引き継がれる。しかしながら、初代ランエボからランエボⅨ(ランエボⅨ MRを含む)まで14年間搭載され歴代エボの心臓を担ってきた4G63はエボⅩでは搭載されず最後を飾ることとなる。
この記事では名機4G63の魅力やランエボⅨに糖鎖された4G63の魅力についてを掘り下げていきたい。
MITSUBISHI ランサーエボリューションに搭載の4G63エンジンの魅力
4G63の特徴
4G63の一番の特徴はなんといってもパワーだ。4G63エンジンは初代ランエボから搭載され1996年8月にランエボⅣが登場した際にMITSUBISHIで初の280馬力を達成させる。
2リッターの小排気量エンジンながら当時の自主規制の上限に達するハイパワーを捻出するのだ。
当時はターボ車であっても2Lで280馬力に到達するのは難しく、2Lで280馬力に到達しているのは、1996年6月に販売されたBD5型 レガシィに搭載されるEJ20(意外だが2Lエンジンで最初に280馬力に到達した国産車はインプレッサやランエボではないのだ)のみ。
先に280馬力に達していたVG30DETTやRB26DETTや2JZなどは2000ccより大きな排気量にターボを組み合わせている。
しかも、このエンジンのスゴいところはトルクだ。エボⅣでは 36.0kg・m/3000rpmを達成していたが、4G63最終型であるランエボⅨMRでは40.8kg・m/3000rpmに達するのだ。
加速性能に振り切ったクロスレシオなギア比、ファイナルギアを組み合わせることで、体感では350馬力ぐらいありそうな加速をするのが、ランエボの魅力だ。
四駆性能に優れるランエボだが、ハイパワーなエンジンと組み合わさることで、その圧倒的な地位を確立しているのだ。
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エボⅧからエボⅨへのエンジンの変更点
ランエボⅧからランエボⅨへの進化にあたっても、もちろんエンジンにも手が入ってる。
高性能化と環境性能を向上したMIVEC搭載
ランエボⅧからランエボⅨに進化するにあたって一番大きな進化はMIVECが搭載されたことだ。MIVECはMITSUBISHIによる可変バルブタイミング・リフト機構の総称である。これは、エンジンの回転数に応じてバルブの開閉の長さと時期を変化させる技術であり、HONDAのVTECやTOYOTAのVVTと目的は同じシステムである。
こういった技術を用いることにより、ランエボ9は最高出力280ps(206kW)/6500rpm、最大トルク40.8kg・m(400N・m)/3000rpmを発生させる。(5速MTを採用するモータースポーツグレードのRSでは最大トルクが41.5kg・m(407N・m)/3000rpmに達する)。しかもそれでありながら、環境性能の向上までを達成しているのがこの技術のスゴいところなのである。
超軽量タービンの採用
ランエボⅧからランエボⅨに進化するにたり、ランエボⅨGT、ランエボⅨRSにはタービンホイールにチタン、コンプレッサーホイールにマグネシウムを用いた新開発のチタンマグタービンが採用された。
これらの素材を用いることにより、タービンが大幅に軽量化され最大トルクは41.5kgmまで増え、最大トルクの発生タイミングが、500rpmも低回転化していることを見逃してはならない。
タービンが軽量化され少ない排気ガスでもタービンを高速回転できるようになったメリットが大きく反映されている部分である。
実際のカタログスペックの差以上に、体感できるフィーリングとしては低回転のトルクが増えたことにより、低回転から中回転域にかけてのピックアップが良くなり、トルクで加速する感覚が一層増したのである。
しかしながら軽量化に振り切ったマグネシウムタービンはノールのブースト圧でもタービンブローが見受けられた。
最後の4G63搭載、ランサーエボリューションⅨ MR
ランエボⅨの実質後期型であるランエボⅨMRがランエボⅨの翌年にデビューする。
ランエボⅨでトラブルのあったチタンマグタービンは純正オプション化され、チタンアルミタービンがノーマル状態で採用された。
また、この変更に応じてコンプレッサーホイール入口径もわずかに縮小した。経を補足することでタービンに当たる風の流速を上げるのが狙いだったのだろう。
これによりレスポンスアップが狙えるのだ。
実際にランエボⅨMRではMIVICのセッティングも煮詰めることにより、Ⅸ以上にレスポンスアップを果たす。
良いところばかりではない。懸念されるポイントを紹介
タービンブローについて
先程も少し触れた点ではあるが、ランエボⅨGT、ランエボⅨRSに採用されたタービンが壊れやすい。
これは最近の車にありがちなコストカットや無理ある共通部品化の弊害ではなく、究極の性能をもとめた結果なのであるが、性能と耐久性はトレードオフになりやすい。
タービンホイールにチタン、コンプレッサーホイールにマグネシウムを用いた新開発のチタンマグタービンを採用したが、マグネシウム合金はアルミや鉄のように強度がだしにくい素材で加工難易度もたかい。タービンは複雑な形状で加工が難しかったので余計にトラブルに繋がったのだろう。
純正状態のぶースト圧でもタービンブローが発生してしまったのだ。
この点はいまから中古車で購入を考えている人は要注意だ。特にチューニングなどをおこなうつもりのユーザーは他のエボに採用されているタービンや社外製タービンに交換したほうが良いだろう。
ACDポンプの故障
第3世代の初号機であるVIIから採用されたACDを制御する「ACDポンプ」は、街乗りに比べ大きな負荷のかかるスポーツ走行の繰り返しにより故障する事例が多い。
サーキット用途で利用するユーザーが多い車種だからこそ顕在化しやすいトラブルかもしれないが、ACDポンプ故障に関してはネット上でも取り上げられていることが多い。
異常が生じた場合、車は走行可能であるものの、油圧による駆動制御が機能しなくなるので交換が必要だ。
ACDポンプの交換には、部品代と工賃を合わせて約20万円と高額な費用がかかるため、サーキット走行の機会がある人は特に注意が必要だ。
O2センサー
エンジンの吸入空気濃度を検知するO2センサーは、タービンのアウトレット部に設置されており、熱やススが原因で故障することが多い。ただでさえ2リッターで280馬力を発生させるランエボは熱問題が発生しやすいのだが、タービン付近にあるために余計に熱の影響を受けやすいのだ。O2センサーが故障すると、ランエボに限った話ではないが、チェックランプが点灯したり、エンジンの最適な燃料噴射量の調整が狂い、加速不良やアイドリングの不調を引き起こす可能性がある。こちらはACDポンプほど高額ではなく、費用を抑えたい場合は社外品をもちいることにより一万円以下で部品を購入することができる。
まとめ
勝つために進化し続けた車といえば真っ先に思い浮かぶのが、ランサーエボリューションではないだろうか。
良きライバルであるインプレッサとともに、レースを制する為にカタログスペック上の値やマーケティング上の”らしさ”ではなく、レースで勝てる車を市販し続けたのが、ランエボだ。
2005年にデビューしたランエボは9代目にまで進化し、シリーズでは12モデル目。1992年に販売された初代モデル以来年次改良を続けてきた。
その究極熟成形ともいえるランエボⅨだ。
そこに搭載されるのは熟成しきった4G63。車好き、ランエボ好きとしてはぜひ一度体験したい車だ。
おもしろレンタカーでは、ランエボをはじめ様々な車をレンタルしている。
現在はネオクラシックスポーツカーブームで、平成スポーツカーは値段が高騰してしまいなかなか乗るのが難しい。
しかし、おもしろレンタカーならランエボの数々のモデルを貸し出している。
2世代目と3世代目を比較してその進化を体感するなど、既にランエボオーナーに乗っているオーナーの方でも楽しむ事ができる。
一度は憧れのエボに乗ってみたいという方は是非おもしろレンタカーのサイトを覗いてみて欲しい。
購入に比べたら遥かに手頃な金額でレンタルが出来るので、夢を夢で終わらせるのではなく、実際にステアリングを握って全力で運転を楽しんで欲しい。