RX-7は維持できない?気になる維持費はどれくらいかかる?

日本の誇るロータリーエンジン搭載のピュアスポーツ車種「マツダ・RX-7」。1978年に登場した初代のSA22C型に始まり、2代目のFC3S型を経て、RX-7シリーズとしては最後のモデルとなった3代目のFD3S型へと代を重ね、国産唯一のロータリーエンジン搭載のスポーツモデルとしてひとつの頂点を迎えた。

ロータリーエンジンの軽量コンパクト&ハイパワーという強みを活かし、軽量でハンドリング性能を重視したピュアスポーツと呼ぶのに相応しい特性を備えたこのFD3S型RX-7は、国内でも走り重視のマニアたちから高い評価を得ていたが、海外でもファンのコミュニティを形成するほどの支持を得るに至った。

生産終了から20年以上が経過した今でも国内外に根強くファンを持つこのFD3S型RX-7をこれから購入したいと考えている人に向け、維持するためにはどれくらいの費用がかかるのかをザッと紹介していこう。

RX-7(FD3S)の年間維持費の内訳

FD3S型RX-7の維持費は下記の項目で計算できる。

  • 燃料費
  • 自動車税
  • 車検費用(代行料/重量税/印紙代など)
  • 自動車保険料
  • メンテナンス費用
  • 駐車場(ガレージ)代

以下、それぞれの項目を詳しく見ていこう。

燃料費(ガソリン代)

FD3S型RX-7に搭載されているエンジンは、13B-REW型の654cc×2ローターのシーケンシャルツインターボ。最高出力は255〜280馬力となっていて、使用燃料はハイオク指定だ。

燃費は当時の国産車の中でも悪い部類の上位に入り、カタログ値で8km/ℓ程度。実燃費は走り方で大きく異なるが、最高値は10km/ℓ以上という話も聞かれる一方で、サーキットなどで本気で踏むと4km/ℓを下回る場合もあるようだ。平均値としては6.4km/ℓというところが妥当かと思われる。

年間の走行距離を平均より少なめの7,000kmと設定し、ハイオクの単価を180円で計算すると下記の結果になる。

6.4×7,000×1,810=193,846円

自動車税

車両を維持するには毎年支払いの義務がある自動車税を計算に入れなくてはならない。FD3S型RX-7は上記のように排気量が654×2=1,309ccなので、自動車税は1000cc超~1500cc以下の区分で3,4500円となる。

車検費用(代行料/重量税/印紙代など)

そして、2年に1度やってくる車検を通す費用も、維持費に対してけっこうなウエイトを占めるだろう。車重はグレードや年式で異なるが1,240〜1,330kgの範囲なので、重量税は1t超〜1.5t未満の区分で、最終モデルでも21年が経過しているので減額無しの37,800円。

自賠責保険は自家用乗用車の24ヶ月で17,650円。印紙代などの諸経費が約2,000円。そして車検を業者に委託する場合は代行手数料が掛かるが、これはディーラーやガソリンスタンドなど、各業者で設定が異なるので、とりあえず平均値として30,000円としておこう。

それらの費用を合計すると、車検費用は87,450円となる。

自動車保険料

自動車保険料、いわゆる任意保険と呼ばれる保険は、加入者の条件などによって利率が異なり、それは各保険会社でも異なる。走りを楽しむことを主眼に製造されるスポーツカーはその性格上、自動車保険料が高額に見積もられる傾向がある。

これは車種ごとの統計データでも左右されるので、事故の件数が多い車種は高額になる。そして各保険会社でその査定基準が異なるので平均価格を出すのも少々難しいが、参考としてある保険会社のweb見積もりでの結果を照会しておこう。

年齢30歳、加入は初めて、免許の帯は青、車両保険あり、という条件で見積もった結果、年間一括払いの保険料は、約100,000円となった。

メンテナンス費用

車両を走らせる上では、状態を良好に保つためのメンテナンス費用も欠かせない。主な項目を挙げ、どれくらい掛かるのかを試算してみる。

最低限のメンテサイクルを考えると車検の時期にまとめておこなうというケースになるが、高性能で年数もそれなりに経っているFD3S型RX-7の場合は最低でも1年ごとの定期点検はおこなっておきたいところ。

オイル交換

小排気量で高出力を発生させるロータリーエンジンはオイル管理をしっかりおこなう必要があり、オイル交換は最低でも冬前と夏前の時期に年に2回おこなうのがベストだと考える。ちなみにサーキットなどで長時間の全開走行をおこなうなら、走行ごとの交換が望ましい。

そして13B-REWエンジンはプラグの劣化も激しいため、オイル交換をするなら同時にプラグの交換を推奨する。オイル+フィルター+プラグの交換費用の目安は約20,000円。

タイヤ交換

メンテナンス費用の面で最もコストが高いのがタイヤ交換だろう。FD3Sで最もワイドなタイヤを装着しているRZグレード(など)の例で考えると、タイヤのサイズはフロントが235/45R17、リヤが255/40R17となっている。

ブリジストンのPOTENZA・RE-71 RSで見てみると、定価では4本で約230,000円となる。安売り店で購入するケースも多いと思うので、そちらの場合は130,000円くらいから購入できるようだ。仮に15,000㎞保つとして、一年間で7,000㎞走る場合は、年間で約70,000円〜120,000円となる。

その他の消耗品

その他の消耗品の交換費用は使い方などで異なるので一概には言えないが、ブレーキパッド、エアコンのフィルターやワイパーゴムなど諸々をザックリ計算し、1年では40,000円程度を見ておきたい。

駐車場・ガレージ代

維持費としては駐車場代も考えないとならないだろう。スポーツカーを保管するのに適した駐車環境としては、まず立体駐車場は最低地上高の点と、車幅の制限で適合しないことが多いので選択肢から外れるだろう。

また、高価で目立つ存在ということを考えると、人の目から隠せる屋内型がベストだと考えられる。実施の費用は地域や環境などで大きく異なってくるが、ざっくり計算すると、年間で400,000円程度はみておいたほうがいいだろう。

維持費の合計

FD3S型RX-7の維持費の各項目を合計すると下記の金額になる。

  • 燃料代:193,846円
  • 自動車税:34,500円
  • 車検費用:87,450円
  • 自動車保険料:10,000円
  • メンテナンス費用(最高値):200,000円
  • 駐車場(ガレージ)代:400,000円

合計:1,015,796円

上記の計算結果だと、年間の維持費は約1,000,000円強となる。

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RX-7の維持費を抑えるためのポイントは?

FD3S型RX-7の年間維持費のザックリとした試算は上記のようになるが、少しでも購入のハードルを下げるため、維持費を抑えるためのポイントを考えてみよう。

走り方で維持費を抑える

燃料代の190,000円をを少しでも安くするには、運転の方法を改善することが有効だ。まずムダにアクセルを踏むのを避けることが第一のポイント。

せっかくの高性能車なのでアクセルを開けて楽しむことを抑える必要は無いが、普段の移動時はアクセルを大きく踏まないことを意識して、加速にそったアクセルワークを心がけ、無駄な燃料の消費を抑えるようにしたい。

また、車体の状態を良好に保つことも燃費向上に影響があるので、タイヤの空気圧を適正に保ったり、エンジンオイルの交換をキッチリおこなうことが燃費に有効となるし、タイヤやブレーキパッドなどの消耗も抑えることにも繋がる。

委託せずに自分でできることは自身でおこなう

出費のうち、法定費用は減らすことはできないが、委託をやめて自分でおこなうことで抑えられる費用がある。まずユーザー車検に切り替えれば代行費用の30,000円は節約できる。

そしてオイルやプラグの交換も自分でおこなえば、額としては多くはないが工賃の数万円は節約できるだろう。そうやって自身で手間をかけるうちに愛着が増していくというメリットもある。

安売りや中古品で購入費用を抑える

維持費の項目の中でけっこうなウエイトを占めているのがタイヤの費用だ。高額銘柄を新品で購入すれば年間で120,000円掛かるが、タイヤのグレードを下げて安売り店で購入すれば、半額に抑えることも可能だ。

長い目で見れば、普段履き用に安いタイヤを、走りを楽しむとき用にハイグリップタイヤを個別に用意すれば、せっかくの高額タイヤを無駄に消費しないで済ませられる。

RX-7を購入する場合、年収はいくらあれば安心?

最後に、FD3S型RX-7を購入するにはどれくらいの年収が必要になるのかを試算してみよう。目的や、居住地域などいくつかのケースを想定して、維持費の内訳の変化によって相当する年収を割り出してみたい。

ケース1:都市部在住であまり激しい走りをしない人の場合

都市部に住んでいる場合を想定すると、まず物価の高さが懸念事項だろう。維持費で多くのウエイトを占める駐車場代が最も影響を受ける部分なので、その額の高低で全体の費用が大きく変化する。

東京の中心部で屋根付きのガレージを借りるなら、安くても50,000円/月は掛かるだろうから、年間で600,000円となる。また、ガソリン代も高い傾向にあるので、郊外より1割弱の割高感はあるだろう。

しかし激しい走りをしない場合は燃費やタイヤなどの消耗品の費用が抑えられるので、その点では維持費の節約によく作用するだろう。その点を考慮して年間費用を試算すると、ザックリと約1,200,000円となる。

都心に住み、年間に趣味で1,200,000円の出費が可能な年収となると、だいたい6,000,000円の年収があれば、無理なく維持できると思われる。

ケース2:郊外に住み、山道やサーキットを楽しみたい人の場合

ケース1と逆に、郊外ならば地代が低いため、駐車場代や家賃が低く抑えられるだろう。地域によってはガソリン代も低めなところが少なくないし、物価も低めなのでタイヤなどの消耗品費や工賃も抑えられる。

その一方で、山道やサーキットなどでの全開走行の頻度が高いという点は、ランニングコストの増大が年間維持費に大きく影響してくる。タイヤはグリップ性能を落とすことができないので必然的に高価な銘柄となり、交換のサイクルは倍になるだろう。

全開走行で燃費は4km/ℓ以下になることもあるので、燃料の消費は1.5倍近くになると見て良いだろう。そしてオイル交換の頻度がサーキット走行毎になると考えた場合、走行頻度にもよるが年間の費用は2〜3倍になると思われる。

そしてブレーキパッドの交換など、消耗品費もかなり増えるだろう。それらを考慮して試算してみると、約1,500,000円となる。郊外で地代や物価が安く抑えられる分は、タイヤやオイル、燃料代などで相殺される以上に増してしまう計算となる。

このケースの場合の必要な年収は、単純計算では6,500,000円ほどだが、激しい走りには故障や衝突などが付きものなので、その余裕を加えると7,500,000円くらいが安心のラインかと思われる。

ケース3:郊外在住で車両の所有が目的の場合

FD3S型RX-7くらいの旧い名車になると、コレクション目的の人も少なくないだろう。けっして転売目的ではなく、憧れの名車のオーナーになりたかった、というケースだ。

こういうケースでは、自身で所有の土地にガレージを建てて保管していることが多く、気候と天気の良い日を選んで月に1〜2日というペースでショートツーリングに出掛けるという乗られ方が多いように思われる。

おそらくこのケースが最も維持費が低い例になるだろう。ザックリ計算すると、年間で400,000円で足りる。この場合の必要な年収は、5,000,000円以下で充分だと思われる。

以上の年収のケースでは、購入の費用を含めずに試算をおこなったので、実際はここに購入費用の分割した額が上乗せされることになる。2024年時点でのFD3S型RX-7の中古車価格は3,200,000円〜10,000,000円超とピンキリの様相だが、実際の中心レンジは4,000,000〜6,000,000円といったところだろう。

この範囲のタマでも個々の車両の状態は様々なので、実際に購入するには好調な状態を知っておいたほうが失敗が少ないだろう。そんなときは手軽にレンタルできる「おもしろレンタカー」で実際の走りの感触を確かめるのがオススメだ。