車好きがスポーツカーを購入する際の候補として、NDロードスターは避けて通れない魅力的な存在であるはずだ。
この記事では、運転が好きな車好きがNDロードスターを購入を検討する上で懸念事項である「馬力」に焦点を当てながら、NDロードスターについて解説する。NDロードスターからドライバーはどのような楽しさを得られるのか、カタログスペックでは分からないフィーリングについて紹介したいと思う。
この記事を読んだ後には、NDロードスターは読者の方にとって、良い選択になるのか、悪い選択になってしまうのか、その判断の一助となればとおもう。
パワーではなく軽さが魅力、カタログ馬力と体感値のギャップ
カタログスペックにおいては、NDロードスターの馬力は130psであり、フェアレディZやその他の新車で購入可能なスポーツカーと比較すると、一見劣っているように感じられる。しかし、この数字だけで判断するのは早計である。
「馬力が少ないから楽しくない」と一概に言えるわけではない。NDロードスターの真骨頂は、パワーではなく軽さと素性の良い重量バランスにある。特に、NDロードスターは1トンを切っている。例えばGR86は1200kg、フェアレディZは1500kgを超えるなど、現行のスポーツカーの重量化が進むなかで、NDロードスターの軽さは突出している。
パワーウェイトレシオの優位性
この軽さがもたらす最大の利点は、パワーウェイトレシオに現れる。この指標は、車重を馬力で割った値であり、加速性能の一端を担う。NDロードスターは、その軽さから得られるパワーウェイトレシオが非常に優れているため、エンジンのパワーが少なくても十分な加速が可能である。
なお、今回の記事では2リッターエンジンを搭載したロードスターRFは対象外である。そのコンセプトと性能は若干異なるため、別の機会に詳しく解説する予定である。
以上が、NDロードスターの魅力とそのパワーに対する一般的な誤解を解きほぐす詳細な解説である。この車は、単に「馬力が少ない」と切り捨てるにはあまりにも多くの魅力を持っている。特に、車重とパワーウェイトレシオによって、その実力を十分に発揮することができるのである。
ライバル車種との比較
購入時に比較検討される方が多いであろう車種(ZN6、ZC33、S660など)と馬力、車重、パワーウェイトレシオを比較してみた。
ここに比較した車両はすべて「ライトウェイトスポーツカー」と評される車種であるために目立つ訳では無いが、一般的な車両のパワーウェイトレシオは10kg/ps前後が多く、NDロードスターの軽さを活かしたパワーウェイトレシオでは有利にあることがわかる。
馬力 | 車重 | パワーウェイトレシオ | |
ND | 130 | 990 | 7.62 |
ZN6 | 200 | 1210 | 6.05 |
ZN8 | 235 | 1260 | 5.36 |
ZC33 | 140 | 970 | 6.93 |
S660 | 64 | 830 | 12.97 |
NDロードスターの場合、軽い車重とギア比がうまく組み合わさり、実際の加速性能は約160〜200馬力相当に感じられる。特に重いSUVと比較すると、その軽快な加速が一層際立つ。
また興味深い点として、マニュアルとオートマでギア比が異なる場合がある。マニュアル車は、運転が好きな人が多く選ぶため、加速性能を重視している。一方で、オートマ車は燃費を優先し、その結果、加速性能は若干劣る可能性がある。
またこれらに加えて、加速性能にはギア比なども絡んでくるので、単に馬力やトルクだけを見て車の性能を評価するのは難しい。
特にNDロードスターのような車は、カタログスペックには現れない要素がうまく組み合わさって、想像以上の走行性能とドライビングプレジャーを我々ドライバーに届けてくれる。その全ての要素を総合的に評価することが必要不可欠である。
温故知新を体現し現代に蘇った初代ロードスターとも言えるのが、NDロードスターだ。 世界を見渡しても現在新車で販売されているライトウェイトスポーツカーというのは、一部の超高級車を除いてほとんどなくなってしまった。各自動車メーカーが生き[…]
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NDロードスターのドライバーが感じるパワーは十分か
スポーツカーとしての「速さ」だけでなく、運転する「楽しさ」も重要な要素である。私が実際にNDロードスターに乗った感想を通じて、この車の楽しさについて詳しく解説していきたい。
ハンドリングの楽しさ
NDロードスターの真の楽しさは、ハンドリングにある。この車は、ハンドリングを最大限に楽しむために必要な最低限のパワーを十分に持っている。そのため、130馬力というカタログスペックは、この車の楽しさを十分に支えるものと言える。
アクセルを踏む楽しさ
運転する楽しさに直接影響するのは、エンジンのレスポンスとフィーリングである。この車のエンジンはレスポンスが非常に良く、アクセルを踏むとその分だけパワーが出る。この瞬間の「吹け上がり」やエンジンの回転に応じたパワーの変化は、運転の楽しさに直結している。
この車の130馬力は、日本のように法定速度が比較的低い国では、遠慮なくアクセルを踏める数値である。最近の300〜400馬力のスポーツカーでは、そのパワーをフルに活かす機会が少ない。しかし、この車の130馬力ならば、街中でも気兼ねなくアクセルを踏むことができる。
その結果、ドライバーは「自分が車の性能を出し切っている」というフィーリングを味わえる。これが、NDロードスターが提供する最大の魅力である。
以上が、NDロードスターの「加速性能」に対する一般的な誤解と、実際に運転してみた感想である。この車は、単に「馬力が少ない」と切り捨てるにはあまりにも多くの楽しさを提供している。NDロードスター特有の個性を理解した上で、この車の真の価値を評価するべきである。
NDロードスターはどんな人におすすめか
NDロードスターに関しては、その「ドライビングプレジャー」が最大の魅力であると個人的には感じる。この車は、エンジンのレスポンスやフィーリングについて独自の特色を持っており、それが運転の楽しさに直接つながっている。
以下では、一個人の主観ではあるが、おすすめできる人とできない人についても触れておきたい。
おすすめできる人
ワインディングロードを楽しみたい、オープンエアで開放感を味わいながらのドライブが好き、といった方にはこの車は非常におすすめである。特に、ドライバーとクルマの「会話」を楽しみたいという方には、この車の特性が非常にマッチすると考えられる。
おすすめできない人
逆に、サーキットでタイムを稼ぎたいと考えている方には、この車はおすすめできない。近しい価格帯で2.4リッターのGR86やその他のよりパワフルな車と比較すると、加速性能ではやや劣るためである。
まとめ
幸せなカーライフの実現には車とドライバーの相性が重要だ。
特に、スポーツカー選びにおいては、フィーリングの相性が非常に重要である。この記事を読んで少しでもNDロードスターに興味を持った方は、近くのディーラーで実際に試乗してみることを強くおすすめする。
NDロードスターは、単に「加速が良い悪いか」といった単純な指標では評価できない多面的な魅力を持っている。興味を持った方はぜひ、実際に試乗してその楽しさを体感してほしいと思う。
またディーラーでの短時間の試乗では、車をしっかりと理解するには時間が足りない場合もある。憧れの道をロードスターで駆け抜けてみたい、実際に購入を検討しているから、通勤路を走ってみたいという方はおもしろレンタカーでNDロードスターを試してみてはいかがでしょうか。