読者の皆さんにとって、初代ロードスターの魅力とはなんでしょうか。
かわいいリトラクタブルでしょうか。
それとも軽いボディでしょうか。
それとも人馬一体のドライビングフィールでしょうか。
少しでも初代ロードスターに乗ってみたいと思っている方に、見た目以外の初代ロードスターが持っている唯一無二の魅力をお伝えしたい。
そこでこの記事では、私がロードスターに乗って感じた、他の車では味わえないドライビングフィールを中心にご紹介していきたい。
そもそもNAロードスターはこんな車です
NAロードスターはとても運転が楽しい車だ。どのように楽しいかというと、ドライバーがしっかりと丁寧に運転をすると、車が思い通りに手足のように動いてくれるからだ。
ハンドルを切ったら切った分だけ、コーナーであっても、あまり減速せずに曲がれるコーナリングフィールに多くの人が魅了されている。
走りを楽しむ為に生まれてきたボディ
それを実現しているのが、初代ロードスターの素性の良さだ。
具体的には、特殊な構造を用いることによって1トンを切る超軽量なボディを実現。さらにロードスターは軽いだけではなく、幌のオープンカーなのでルーフ部分が非常に軽くなるので重心が低くなる。さらにエンジンをフロントミッドシップにレイアウトすることで車の前後重量バランスが50:50と理想的な重量配分を実現しているのだ。
このようにNAロードスターは運転が楽しくなるために必要な、素性の良さが全て詰まっているのだ。また、このNAロードスターの面白さに磨きをかけるのが、現在の車のように電子制御が入ってこないことだ。そのため、ドライバーの操作がそのまま車の動きに反映する楽しさがある。下手に運転をするとそのままスピンをしてしまう。もちろんリスクとトレードオフなのだが、自分で運転をしている感覚はイマのスポーツカーにはない魅力だ。
走行性能を引き上げる贅沢設計のサスペンション
さらに足回りも走行性能を追求した作りとなっている。具体的には、前後ダブルウィッシュボーンが採用されていることだ。
ダブルウィッシュボーン形式のサスペンションは、走行性能のポテンシャルを底上げできるメリットがあるが、一方で部品点数が多くて、部品コストも組立コストも上がり、高級車でないと採用されることはない。
しかしながら、NAロードスターは当時決して高級車ではなく、手頃な価格帯の車でありながら、その本格的なサスペンション形式を採用しているのだ。これによって、路面への追従性がよくなり、ロードホールディング性能が底上げされる。
とくに普通の車はロールをしていくと、ジオメトリー変化が大きく、タイヤと地面の接地面に変化が起きるために、ロールは悪とされることがあるが、NAロードスターはロール後もジオメトリー変化が少ないので、ロールをしてからもドライバーの意思に沿ったハンドリング性能を発揮できるのだ。
”楽”ではないから楽しいロードスター
ここまでいうと、ロードスターはめちゃくちゃ速い車に思う方もいるかも知れない。しかしながら、ノーマル状態では”楽”に速く走らせられる車ではない。
なぜなら、車の動きが素直なので、ドライバーが雑な操作をしてしまうと、その部分も車に反映してしまうのだ。そのため、ロードスターを走らせようとすると、ドライバーには丁寧なハンドリングが求められる。(もちろん、スポーツ走行をしようとし場合で、日常運転では全く問題ない)
このため、ロードスターはドライバーを育てる車や、運転を練習したい人はまずはロードスターに乗れと昔から言われているのは、これらの要因が大きい。
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遅くて未完成なNAロードスターの魅力はなにか
ロードスターが長くドライバーを魅了し続けるのは、屋根が開くオープンカーだからだけではない。いままで沢山のオープンカーが販売されてきたが、これだけ多くの車好きを長く魅了し続けたオープンカーは数少ない。
私はロードスター1番の魅力は、車とドライバーが積極的にコミュニケーションをとる楽しさがあることだとおもう。
ドライバーが車の意思を汲み取りながら丁寧に運転をする楽しさ、この魅力があるからこそ、デビューから30年以上経ったいまも大人気を博しているのではないか。
初代ロードスターにのると、スポーツカーの価値はスピードや速さ、加速性能と思っていた人も、たった120馬力の車が、これほどまでも運転が楽しいかと、痛感させてくれる。
かくいう私も馬力こそ正義とおもっていた人間だが、スポーツカーに必要なのは馬力ではなくて、車と人間が一体となってコーナーを駆け抜ける気持ちよさなのだと教えてもらったのはロードスターだった。そんな運転の楽しさを教えてくれるのが初代ロードスターなのだ。
どんな人が初代ロードスターで幸せになれるのか
それは「速さよりも気持ちよさを運転に求める人」は絶対に損をしない一台だろう。
個人的に強くおすすめしたいのは「車に興味はあるけど、車に詳しくない人だ。」そういう方にこそロードスターに乗って欲しい。ロードスターを運転すればきっと幸せになれるはずだ。
「外見がかわいい!手軽に旧車ライフを味わってみたい!」そんなキッカケでロードスターに一度乗ったら、きっと「アレ、運転ってこんなに楽しかったっけ」という感動を与えてくれるのが初代ロードスターだ。
だから、運転にはあまり興味がない人にこそ初代ロードスターを味わって欲しい。
次に初代ロードスターをおすすめしたいのは、車の運転が好きな人だ。ステータス性など車を所有するのではなく、純粋に車が好きな人に是非一度体験して欲しい。MAZDAが掲げる「人馬一体」や「Be a driver」の意味がすぐに分かる。そして、この車の魅力はゆっくり運転するだけでも、心地よいハンドリングで運転が楽しいのだが、サーキットやワインディングでペースを上げていくと、ロードスターは新しい顔を見せる。
どうやったら更に速く走らせる事ができるか。まさに車とドライバーが、相手を思いはかり、呼吸を合わせてコーナーを駆け抜けるフィーリングは、馬と人間が一体になって草原を駆け抜けた「人馬一体」のフィーリングなのではないだろうか。
現在の太いタイヤと電子制御で、車の意思を無視してアクセルを踏むだけで、誰でもそれなりに速く運転ができてしまうスポーツカーとは、全く異なる楽しさが味わえる。
パワーや加速性能、最高速度がスポーツカーに必要な要素ではないことを教えてくれる。
まとめ
初代ロードスターは、MAZDAの開発者の魂が籠もった一台だ。
運転を楽しむためには、パワーはいらない。高価な車じゃなくても大丈夫なんだと。その想いが実を結び世界中で43万台という、2シーターオープンカーとしては異例の大ヒットとなった。この車が与えた衝撃は大きく、当時は廃れていたライトウェイトスポーツカーというジャンルを復活させた。(メルセデス・ベンツのSLKやBMWのZ3などはNAロードスターのヒットがなければ生まれることはなかっただろう)
最初は愛らしいロードスターのデザインで気になった人にも、ぜひ一度NAロードスターに乗り、車の新しい側面を感じて欲しい。そして、より車にハマって欲しい。