FL5は2022年に販売され、ホンダが全力を注いだ一台である。シビックType Rとしては、初代のEK9から数えて6代目にあたり、HONDAファンをはじめ多くの車好きの期待を集めている。
この車の最も注目すべき点は、かつてニュルブルクリンクFF最速であったメガーヌRSを抜き、ニュルブルクリンク北コースにおいて最速のFFマシンに輝いたことである。また、近年はシビックtypeRの生産地が海外になっていたが、FL5は日本生産に戻ってきており、その点もマニアからは評価が高いのだ。
FL5の特徴
FL5の特徴はなんといっても、サーキットでの速さだろう。もともとtypeRの称号は本気のスポーツカーにしか与えられない。
そのためこの称号を与えられたのは、初代NSX、インテグラ、シビックだけである。S2000もオープンカーであったためtypeSは存在したが、typeRの称号は手にできなかったのだ。
それほどまでHONDAの中で特別扱いされてるtypeRだけに、FL5にも絶対的な速さが求められたのだ。
typeRの名前に恥じない運動性能
もちろんこのFL5はtypeRの名に恥じない圧倒的な運動性能を秘めている。
ベースモデルであるFL1は約182馬力に対して、FL5は330馬力とFFスポーツカーとして最高峰のパワーを持ち合わせている。さらにコーナリング性能に直結するトレッド幅も大幅に拡張されてFL1の全幅1,800mmに対して、FL5は1,895mmと約10センチも全幅を拡張して、タイヤ幅やトレッド幅の拡張を飲み込めるボディとなっているのだ。
これだけ大幅な拡張がtypeRの本気度を伝えている要素の1つかもしれない。
HONDAといえばエンジン
まず特徴的なのは、エンジンだろう。エンジンについては、EP3からシビックtypeRに搭載されているK20Aをベースにターボ化したK20Cが積まれている。このFL5では名前こそ同様だが、先代FK8のK20Cからも、さらに性能が向上している。
凄いのはターボエンジンでありながら、ブースト圧を下げて、最大出力を向上させている点だ。
簡単に性能アップを果たすなら、ブースト圧をアップさせれば良い。しかし、HONDAのエンジニアは給排気を効率化し、さらにタービンの形状を変更させることで、ブースト圧を下げながら馬力をあげるという相反するエンジンをつくったのだ。
少ないブースト圧でもパワーが出せるので、低回転からパワーを発揮し、先代FK8よりも速い加速性能を実現させるのが狙いだろう。このあたり、カタログスペックでは伝わりにくい、サーキットでの速さにこだわっているのが、HONDAらしい点だ。
洗練されたサスペンション
つづいて、サスペンションだが、こちらは先代FK8と同様に、
フロントはストラット式、リアはマルチリンク式のサスペンションを採用している。
もちろんこれらのサスペンションにも手が加えられており、サスペンションの剛性が先代よりも向上している。
特に優れているのは、このFL5のフロントサスペンションである。剛性が極めて高く、300馬力以上のエンジンパワーもしっかりと路面に伝えられている。エンジン出力は先代よりわずか10馬力しか上がっていないが、このフロントサスペンションのお陰で、コーナーの立ち上がりなど、トラクションを性能が求められる場面での加速が非常に速いのがFL5の特徴だ。
正確無比なハンドリング
またFL5の車のハンドリングは極めて正確であり、高速域でもその性能を発揮する。FK8も素晴らしいハンドリングを持っているが、FL5はそれをさらに上回る。サスペンションが地面にしっかりと密着するように、設置しているため、コーナリングの安定性も抜群で路面からのインフォメーションがしっかりとステアリング越しに分かる点も優れている。
このように、加速、コーナリングともに歴代最速の性能を持っているのが、FL5だ。
1つだけある注意点
ただ一つの弱点としては、サスペンションを最も硬い+Rモードに設定した場合、特に路面が荒れている場合には跳ねる傾向がある。このような場合には、スポーツモードに切り替えることで路面のギャップを跳ねることなく、適度にロールしながらいなしてくれ、あれた路面も安心して走行が可能である。
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FL5は走りもデートも一台でこなしたい人にオススメ
どんな人にFL5が適しているのかというと、このFL5は高いトータルパフォーマンスを持つ車である。デザインや見た目も、一見すると大人しく品のある佇まいで普段使いに適しており、落ち着いた印象である。
リアウイングがなければ、一見するとただのセダンとも間違えられるほどの上品な出で立ちだ。そのため、特定の場所やシーンを選ばずに使用することができると感じた。デートで利用しても乗り心地で不快感を与えることは無いだろう。
また、実際に試乗した感想としては、車体の剛性が高く、乗り心地はしっかりとしており落ち着いたものであった。これまでスポーツモデルを敬遠していた人々にも受け入れられるような上質な作りである。また、電子制御でサスペンションの固さを調整できるため、スポーツカーでありながらも、乗り心地重視のモードも選択できるのが便利だった。
このようなレビューからすると、大人しそうな印象を受けるかもしれないが、アクセルを踏むと車は豹変して、鋭いレスポンスと伴に素早く加速する。さらに、コーナーではtypeRの名にふさわしい高いコーナリング性能を発揮する。
この車はシビックタイプRという名に相応しいリアルスポーツカーである。
それでありながら、街乗りからワインディングロード、さらにはサーキットまで、この車はあらゆる場面で満足できる一台であるのがすごい点だと感じた。
この車は、一台しか所有できないがサーキットでも運転を楽しみたい、またはサーキット走行はしないが普段の生活で運転の楽しさを味わいたいと考えている人にとって、非常に良い車であると感じた。
まとめ
2022年において、環境規制や安全対策の要件が厳しさを増している中で、ホンダもかつてのように自由に車を作ることが難しくなっている。しかし、このシビックタイプR、すなわちFL5は、そのような制約の中でもできる限り運転が楽しめる車を作り上げたと感じる。
NA時代のシビックが持つやんちゃな性格や大きなマフラー音といった特徴を「シビックらしい」と感じる人も少なくないだろう。私自身もそのように思うことがある。しかし、変化を求められる各時代で、メーカーがここまで運転の楽しさを実現してくれたという点を考慮すると、非常に優れた車であると断言できる。
車好き、特にホンダ好きの方々には、この車を一度体験してほしい。現代のシビックがどのような車か、ホンダがどのような車作りをしているのかを感じ取ってほしい。FL5は店頭での試乗が難しい場合も多いが、そのような状況であればおもしろレンタカーを利用することをお勧めする。
おもしろレンタカーはFL5型やFK8型のシビックをレンタルでも利用可能である。サービスを利用すれば、好きな場所で好きなだけこの車に乗ることができる。そうして初めて気づくFL5の魅力を体験してほしい。