圧倒的なレスポンスが生むエンジンフィールと、アドレナリンを放出させるエンジン音、これらが車好きを魅了しつづけるEK9。
このEK9の楽しさを引き出すにはどのようなカスタムが良いのか。この記事ではEK9の方向性を崩さずよりドライビングを楽しめるようなカスタムについて話したい。
またドレスアップカスタムは個人の好みだと思う。この記事では、あくまでシビックタイプRとしての個性を伸ばすような走行性能重視のカスタムポイントをご紹介したい
そもそもEK9とは
まずカスタムやチューニングの上で大切なのは、素材となるベース車両への理解を深めることだ。車はコンセプトや用途にあわせて開発される。つまり、開発者の想いや主旨を理解しないカスタムやチューニングには後々しわ寄せがやってくるのだ。
そこで簡単にEK9のおさらいをすると、ホンダ・シビックタイプRの初代モデルであるEK9は、1997年にその歴史をスタートさせた。このモデルは、シビックの6代目モデルをベースに、高性能なスポーツカーとして開発された。そのため、シビックシリーズの中でも特にエンジンフィーリングに優れたモデルとして知られている。
EK9の最大の特徴は、B16B型と呼ばれる1.6L DOHC VTECエンジンを搭載していることである。このエンジンは、185馬力の最高出力を発揮し、軽量なボディと相まって、卓越した加速性能とハンドリングを実現している。また、5速MTが組み合わされ、ドライビングの楽しさを一層高めている。
外観においても、EK9は特徴的なデザインを持つ。専用のフロントバンパーやリアスポイラー、軽量アルミホイールなど、エアロダイナミクスを考慮したスポーティなデザインが施されている。これらのデザインは、単に見た目の美しさだけではなく、走行性能の向上にも寄与している。
内装に目を向けると、タイプR専用のレカロ製のバケットシートや専用のインストルメントパネル、シフトノブなど、スポーツ走行を意識したデザインが随所に見られる。これらの装備は、ドライバーにとって最適な運転環境を提供している。
純正状態から走りの楽しさを重視するドライバーからの評価は高く、日本国内のみならず、世界中で愛されているモデルだ。
では、オーナーはこの素性の良い車をどのように仕上げていくのか。それが問題だ。
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EK9のカスタムポイント
カスタムするなら基本的には個性を伸ばすのが得策だろう。EK9の個性といえばやはりエンジンと高いコーナリング性能ではないだろうか。
これら2点を向上させるポイントを紹介したい。
オススメカスタム1:ボディ補強
ホンダ・シビックタイプRの初代モデルであるEK9は、その卓越した運動性能にもかかわらず、ボディ剛性の弱さという課題を抱えている。HONDA車は軽さが売りである一方でどうしても軽いボディが故にボディ剛性が低い傾向があり、このEK9もそのうちの1つだ。
また問題なのが、販売後から時間が経過していることだ。どうしても車は走行距離によってボディが劣化してしまう。特にサーキットやワインディングなどで激しい走行をされてきた車体はその傾向にある。令和の現在ボディがシャキっとしたEK9は非常に珍しいのが実情だ。
このボディ剛性の低さは、特に激しいコーナリングや高速走行時に不利となる。具体的には、シャーシのねじれやフレームのたわみが、車両の安定性やハンドリングの精度を低下させる原因となる。また、乗り心地にも影響を及ぼし、長期的には車体の耐久性にも悪影響を与える可能性がある。
この問題に対処するために、多くのEK9オーナーはボディ剛性を高めるカスタムをおこなうのがおすすめだ。ボディ剛性を向上させる方法としては、ストラットバーやロールケージの追加、ボディ補強パーツの取り付けなどが一般的である。これらの改善策は、車両のねじれを効果的に抑制し、シャーシの剛性を高める。
ボディ剛性が向上すると、コーナリング時の安定性やハンドリングの正確性が著しく向上する。ドライバーはよりシャープなステアリング応答を体感でき、車両の挙動を正確にコントロールすることが可能になる。また、乗り心地の向上にも寄与し、車体の耐久性も向上するため、長期的な観点からも非常に有効な改善策である。
オススメカスタム2:ブッシュ交換
こちらの内容はカスタムという印象よりもメンテナンスというふうに捉える方も多いかもしれない。見た目の変化はなく地味だからだ。
しかしながら、実は走行性能に大きく関わる肝なのがブッシュ交換だ。
特にEK9のドライビング体験を向上させたい場合、サスペンションとエンジン・ミッションのブッシュ交換が非常に有効である。ブッシュとは、車両の各部を接続する際に使用されるゴムまたはポリウレタン製の部品であり、振動吸収や部品の動きの制御に寄与している。しかしながら、ゴムは劣化してしまうため時間がたつと本来の機能を発揮できなくなってしまうのだ。
サスペンションブッシュを交換するメリットは、主に車両のハンドリングの改善にある。新しいブッシュは、特にコーナリング時の車両の挙動を安定させ、より正確なステアリング応答をもたらす。これは、ブッシュが車軸と車体の間の動きをより効果的に制御するためであり、ドライバーはよりダイレクトなフィードバックを感じることができる。特にEK9はサスペンションが前後ダブルウイッシュボーンを採用しているので、他車種に比べてブッシュ点数が多い。つまりEK9を人間に例えると足や骨盤に関節が沢山あり、メンテンスをおこたると足が動かなくなってしまうのだ。
エンジンとミッションのブッシュ交換もまた重要である。これらのブッシュは、エンジンとミッションの動きを支え、振動を減少させる役割を果たしている。交換により、エンジンとミッションがより固定され、パワー伝達の効率が向上する。これにより、加速時のレスポンスが向上し、よりスムーズなギアチェンジが可能になる。EK9はFFのためフロントに重量物が集中している。傷んだブッシュをそのまま使っていると、コーナリング中にエンジンとミッションが左右に揺れていてハンドリングが悪化してしまう。
このようにEK9に限らずに車は、これらのブッシュ交換により、車両のパフォーマンスとドライビングの楽しさが大幅に向上する。特に、EK9のようにダブルウイッシュボーンという複雑なサスペンション形式を用いている車種や重量バランスが悪いFF車で、スポーツ走行やサーキットでの使用を考えているドライバーにとって、ブッシュ交換は効果的な改善策なのだ。
オススメカスタム3:エンジンチューニング
EK9は最高フィーリングや音、高いパフォーマンスのエンジンで知られているが、さらなるカスタムを施すことで、そのエンジンはさらに進化することができる。
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特に注目されるのが、戸田レーシングのエンジンパーツを用いたカスタムである。戸田レーシングは、高性能エンジンパーツの製造において高い評価を受けており、EK9の性能を最大限に引き出すための選択肢として、多くの愛好家に選ばれている。
戸田レーシングのパーツを用いたカスタムのメリットは、主にエンジン性能の向上にある。純正以上に高品質なピストンやコンロッド、クランクシャフトの交換により、エンジンはより高い回転数での運転に耐えうる。また、効率的な燃焼を促すためのパーツもあり、これにより出力とトルクの向上が期待できる。
さらに、これらの高精度なパーツは耐久性にも優れており、エンジンの長寿命化にも寄与する。純正パーツがどんどんと希少になっている現在では、修理のタイミングやメンテナンスのタイミングでカスタムして、修理や予防に加えて、さらなる性能アップを体感するという楽しみ方もあるだろう。
しかし、これらのカスタムにはデメリットも存在する。高性能化したエンジンは、通常の使用状況では扱いづらくなることもある。エンジンの反応が敏感になり、日常的なドライブでの運転には注意が必要となる。
さらに、カムシャフトのプロフィールなどを変更すると低回転でのトルク不足などに陥り日常走行が苦痛になってしまう可能性もある。
エンジン内部パーツの変更は、車両特性をも変えてしまうので注意が必要だ。
もう少しライトなカスタムにオススメなのがECUの変更だ。EK9は純正状態から給排気効率にこだわって設計されているため、直管サウンドなどにこだわりがなければ、純正状態のマフラーで十分な性能が発揮されている。
一方でECUに関しては、メーカーである以上大きく安全マージンが残されている。SPOONなどの社外製ECUを装着することで、VTECの切り替えポイントを低回転に切り替えたり、パワーアップが果たせたりと、エンジン内部パーツを交換するよりも、工数も費用もお手頃にカスタムする喜びを味わいたい方にはオススメだ。
まとめ
どれだけ優れた車でも純正では、ある程度幅広いユーザーに受け入れてもらう必要があり、極端に振り切ったコンセプトの車というには作れない。HONDAは量産車メーカーの中では世界中を見渡しても、もっとも振り切った市販車を世の中に出しているメーカーといっても過言ではない。だが、どうしてもコストには制約がある。
その制約がないのがカスタムの魅力だ。
EK9は素の状態でも非常に楽しい一台だが、オーナーの好みにあわせた唯一無二の一台を作り上げて欲しい。
おもしろレンタカーでは強化ブッシュに交換したEK9のレンタルや、R34GTR、RX7といった車好きが一生に一度は運転したい名車が揃っている。
乗りたい車をすべて購入することは難しいだろうが、レンタルならハードルは極めて低い。車好きの方には是非一度憧れの車を運転する喜びを味わって欲しい。