FK8はカスタムで新型シビックタイプR(FL5)より速くなるのか?

FK8

この記事では、5代目シビックtypeRことFK8をこれから購入検討されている方に向けて、FK8はカスタムやチューニングをすることで、最新型シビックtypeRよりも速く走れるのか。

FK8とFL5どちらを購入したほうが満足できるのか。そんな観点からFK8型シビックtypeRの魅力を深掘りしていきたい。

FK8型の特徴

FK8は先代シビックタイプR。2リッターのターボエンジンを搭載し、300馬力オーバーのパワーを発揮するFFマシンだ。

先代は日本国内では750台の限定モデルとなったが、このFK8は通常のオーダーが可能であり、国内にもしっかりと流通しているのが特徴だ。

FK8とFL5のカタログスペックの差

FK8の馬力は320馬力とFFマシンとしては驚異的なパワーをだしている。FL5型と比べると馬力でこそ10馬力劣るが、FK8はFL5よりも40キロ軽く、パワーウェイトレシオの観点からいうと、カタログ上のパワー差はドライバーのテクニックで十分にカバーできる範疇で有ることが分かる。

FK8FL5
馬力320ps(235kW)/6500rpm330ps(243kW)/6500rpm
トルク40.8kg・m(400N・m)/2500~4500rpm42.8kg・m(420N・m)/2600〜4000rpm
車重1390kg1430kg
全長4560mm4595mm
全幅1875mm1890mm
全高1425mm1405mm
ホイールベース2700mm2735mm

FK8とFL5のニュルブルクリンクタイムの比較

カタログスペック上での差こそ少なかった2台だが、実際にFK8とFL5ではどのぐらいの実力差があるのかを比べてみたい。

参考にするのは車の性能を総合的に判断するのに、もっとも適しているとされるニュルブルクリンク北コースのタイムだ。以下が2台の公式タイムだ。

FK8FL5
ニュルブルクリンク北コース7分43秒807分44秒881

今回の記録は7分44秒881であり、5代目TYPE Rの記録7分43秒80より約1秒遅い。では、なぜこれが記録更新とされるのか。

その答えは、「ニュルブルクリンク北コースにタイムアタックの公式区間が新たに定められたからである」というのが正解である。

以前、ニュルブルクリンクのタイムアタックには「計測は北コースとグランプリコースの合流地点から開始する」という非公式ルールが存在していた。しかし、2019年にニュルブルクリンクは「計測は北コースのコントロールラインから開始する」という公式ルールを設定した。その結果、スタート地点が約230m手前に変更された(コース長が20.6kmから20.832kmに増加した)ことが、タイムが遅くなった理由である。

このように公式タイムでは直接比較ができないのだ。

そこで以下では、実際に2台を乗り比べて感じた差を述べていきたい。

2台乗り比べて感じた大きな差

FK8とFL5の2台を実際に筑波山で乗り比べたが、この2台の大きな差は2つあった。

1つ目はフロントタイヤの接地感がFL5のほうが高いことだ。

これにより、1,コーナリングの限界が高い2,加速時のトラクションが掛かる

この接地感の差がFl5の速さに繋がっていた。なので、FK8型もこれらの改善を行うことができれば、コーナリングや加速でも、FL5と勝負できると感じた。

2つ目はエンジンの低速トルクがFL5のほうが太いことだ。このため、低回転域からFL5のほうが速く加速できる。カタログスペック上の馬力差は10馬力だが、中間トルクの厚みの差があり、体感的には20馬力程度の差があるように感じた。

逆に言えばこれら2点を改善することで、FK8はFL5と勝負できるポテンシャルが大いにあると感じた。

しかも、FK8は沢山のカスタムパーツが販売されている。FK8でFL5を倒すことは実現性がかなり高いし、それほど無茶なチューニング費用を掛けずに達成できるように感じた。

FK8のカスタムすべき要点とは

では早速これら2点をどのようにカスタムしていくべきなのか。

カスタムは費用をかければ、一定の成果がでる。

しかし、ユーザー目線で考えた際に費用ばかり掛かってしまうのでは実現性が薄い。

そこでこの記事では、なるべく無駄な費用を掛けずにこれらの目標を達成したいと考えている。そこで一旦は軽量化など費用の掛かる内容は避けることにした。

改善ポイント1:足回りの剛性

1つ目のフロントタイヤの設置感の高さだが、サスペンションの剛性やサスペンションの取付剛性、ホイール剛性が大きく関わってきている。

サスペンションの剛性をアップさせるのは費用が高くなってしまうので、サスペンションの取付剛性をアップさせるサブフレームの補強パーツ、ロアアームの締結を高めるブレース、サスペンションの付け根(人間の骨盤)ともいえるサブフレームの締結剛性をアップさせるリジカラの装着が効果的だと感じた。

またホイールの剛性アップについては、FL5の純正ホイールをヤフオクなどで入手するというのも手だろう。FK8は20インチに対してFL5は19インチなので、乗り心地のアップとランニングコストの削減にも繋がる。

もちろん、社外製の車高調に交換すると言うのも王道だが、純正式のサスペンションがかなりしっかりしているので、もし社外品に交換するのであれば、20万円以上ぐらいのモデルを購入しないとデチューンとなってしまうであろう。

ボディ補強パーツであれば、費用がそこまでかからずに、シャシー性能の底上げに繋がるので、車高を下げたいというニーズがない限りは、あえて王道の車高調を後回しにして、ボディ補強から手を付けるのも良いと思う。

改善ポイント2:トルクバンドの拡張

2つ目の低速トルクの改善だが、これらは給排気効率の改善を図るのが良いだろう。具体的には吸気側をK&Nの純正互換フィルターを用いることで、純正の考え抜かれたパイピングを活かしながら、低回転時の吸気効率を改善できる。社外製のキノコ型などになってしまうと吸気温度が向上してしまうので、夏場はパワーダウンに繋がってしまう。

また排気に関してはメーカーが一番大きな制約を受けている部分である。なぜなら、厳しい環境規制、騒音規制、そしてコスト制約があるなかで、全てをクリアするものとなると、排気効率だけを優先しては製造できないのだ。そこを逆手にとって、排気効率を重視したマフラーを取り付けることによって、FL5に大きく近づける部分だと感じた。

また社外製のECUや、現車併せてのECUセッティングなど沢山の選択肢がある。

ここまで行うと、FL5のパワーを大きく超える事ができるだろう。

実際にSEEKERというチューニングショップでは、3種類のオリジナルECU中で最もハイパワーなバージョン3.0である。設定されたブースト圧は1.85であり、SEEKER製のS.E.S.マフラー、HKS製のインタークーラー、さらにはHKS製のコールドエアインテークキットを組み合わせることで、ノーマル状態から約91PSのパワーアップを実現しているのだ。これだけのパワーがあればノーマルのFL5を圧倒することができる。

また実際サーキットのタイムをみても、ラズファクトリーがカスタムした車両は、足回りを中心にチューニングを進め、ECUとインタークーラーなどの冷却系強化という、比較的手を出しやすいチューニング内容で、筑波のタイムを1分1秒台に乗せている。

(参考:https://revspeed.jp/2022/01/32644/)

このタイムは、FL5の純正状態のでタイムが1分7秒と言われているので、タイヤ銘柄の差を考慮しても約6秒のタイム差があるので、FK8はチューニングをしていくことで、ノーマルのFL5よりも速くなることが可能ということだ。

FK8はFL5を倒せるのか

FK8は登場が2017年のモデルであるが、まだまだ高いポテンシャルを秘めている名車ということがわかった。カスタムしたFK8はノーマルのFL5を凌駕するタイムでサーキットを走ることが可能だ。

カスタムにレギュレーションがないために、両者2台をカスタムしていった際に、実際にどちらが速いのか。というのはなかなか証明が難しいが、FL5と同形式のエンジンを積み車重が40キロ軽いFK8はかなりのポテンシャルを秘めているだろう。

今回比較したFK8とFL5は同じtypeRでありながらデザインが大きく異なる。

FL5よりもFK8のデザインが好みの方や、FL5では予算が厳しい方でも、少し値が落ちてきたFK8を購入して、差額をカスタム費用を当てて自分好みの一台に仕上げるなど、様々な楽しみ方が出来るだろう。

まとめ

今回はサーキット走行を視野にいれている走り屋目線でFK8vsFL5という観点から、FK8のカスタムの可能性を探ったがいかがだっただろうか。

もちろんタイムや速さだけが、車の魅力ではない。

この記事では一例として、速さを軸にしながらFK8のカスタム事情について記事にしたが、是非皆さんには、自分の好きな車をいま以上に自分好みに仕上げて、ディープなカーライフを楽しんで欲しい。

自分にとってどのような車が一番欲しいのか、このパーツをつけたらカッコよくなるか。

そんな妄想を繰り広げている時間が一番楽しいはずだ。

どこでどのように車を走らせたいのか、是非後悔のないパーツ選びとカスタムをして、自分色に染め上げたFK8でドライブを楽しんで欲しい。