新型シビックタイプRは走り屋のカスタムベースとして最適なのか?

FL5

新型シビックtypeRことFL5は純正状態でも非常に速い車だ。洗練されたデザインや、300馬力を超えるハイパワー。そして、それらのパワーをしっかりと路面に伝える高性能なボディとサスペンションを備えた、まさにtypeRの名にふさわしい一台だ。

しかしながら、そんなFL5であっても純正状態の性能では心いくまで満足できない方もいるだろう。

この記事では、ワインディングやサーキットを走るのが好きな、走り屋目線でFL5のカスタム情報を提供したい。

FL5は走り屋の味方なのか?

私は走るのが好きな人にとってFL5はとってもオススメな一台だとおもう。

ニュルブルクリンク最速の称号はもちろんだが、私のようなドライバーがストリートで運転をしても、十分に運転を楽しめるからだ。筑波山のワインディングで試乗をしたが、その限界性能の高さには驚くばかりだった。FF車とはおもえない思い通りのハンドリングに、コーナリング性能の限界の高さ、アクセルを踏めば低回転から高回転まで途切れることなく加速していくエンジン。まさにスポーツカーの名にふさわしいドライビングプレジャーが味わえた。

さらに、サーキットユーザー目線でとても重要になってくるのは、カスタムパーツが充実している点だ。

販売開始から間もないにもかかわらず社外製のカスタムパーツの豊富

新車の販売直後はカスタムパーツが少ないことがネックの1つだ。選択肢が少ないので、エアロパーツやマフラーが他のユーザーと被ってしまうこともある。

しかしながら、FL5はSPOONを始めとするHONDAを得意とする各パーツメーカーがかなり力を入れてパーツ開発をおこなっている。

マフラーやドレスアップ用のエアロパーツに選択肢が多いことはもちろんのこと、目には見えない走りに必要なパーツのラインナップが多いのも魅力だ。

例えば、サーキット走行やワインディングを本格的に走ろうとすると、どれほど優れたスポーツカーでも、ブレーキを筆頭に、冷却系パーツなどをサーキット向けの強化品に変える必要性が生まれてくる。

とくにFL5のようなターボ車では、熱害の影響がおおきく、インタークーラーを始めとする冷却パーツなどは、自分の目指すタイムや実力に応じて、社外製の強化品を装着する必要がある。

この点においても、各メーカーがサーキットユースを想定した大型のインタークーラーをはじめ、冷却効率をアップさせるための様々な商品を開発している。

ドレスアップだけではなく、本格的なパーツ展開が多いのも、このFL5やシビックタイプRの魅力だろう。

故障時の純正部品の確保がしやすい

FL5は2022年に販売が開始されたばかり、そのため純正部品には全く困らないだろう。それどころか、マイナーな改良に伴う部品変更の恩恵を受けることもできる。

HONDA車は販売終了後から部品供給のストップが比較的早い場合が多い。販売終了後10年程度経つと徐々に純正部品の新品が手に入らなくなってしまう。

これはハードな走行により、車が壊れやすいサーキット走行ユーザーにとっては大きな問題だ。

その点において、FL5は車が新しいので、EK9やFD2といった他のシビックtypeRシビックに比べて部品供給の心配が無いのも安心材料だ。

HONDA好きの方には、かなり有力な選択肢といえるのではないだろうか。

車両自体の金額とパフォーマンス

一番の課題となってくるのが費用と車両数の少なさだろう。半導体不足の影響で注文がストップしていたこともあり、球数が多くはない。

また新車価格は一番ベーシックなモデルで、500万円弱といった金額設定もあり、一昔まえのシビックtypeRに比べると価格が上がってきてしまっている。

日本経済が停滞していることや、円安の影響が大きく、どうしても車両価格が上がってしまっているのが実情だろう。

また、この20年間で安全性確保の観点から、車室のスペースはあまり変わっていないが、車両全体のサイズや、安全装備は大幅に増えた。これらによって車自体の金額が上がってしまっているのだ。

一点朗報なのは、一時期は中古車にプレミアム価格が設定されていたが、そのような状況は少々落ち着きつつあるようだ。

逆に費用を気にしなければ、皆が乗れていない車に乗れるという特別感を味わえるだろう。

こういった車種をカスタムすることで、注目を浴びれるのもFL5を選ぶ理由の1つになる方も居るではないか。

また、サーキットを走るユーザーはホイールを交換する方が非常に多いだろう。その際にも、先代FK8は20インチだったため、ホイール代やタイヤ代が高ったが、今回は19インチへとインチダウンされたことで、少々金額を抑えられるというのは魅力的かもしれない。

マニアックなニーズも満たすアフターパーツ

このセンテンスでは走り屋向けにサーキット目線でのカスタム幅について一例をご紹介したい。

先程も少し述べたが、このFL5は最新のシビックタイプRということもあり、沢山のカスタムパーツが販売されているのが魅力だ。

簡単に手にはいるアディショナルパワー

例えば、走りを優先したいユーザー向けには、簡単にエンジンのパワーを上げられるパーツなども販売されている。

ホンダ車を専門にする老舗“Spoon”から、FL5用の「HONDATAフラッシュプロ」が発売された。

このアイテムを使えば、純正比で約35馬力、トルク約10キロアップが可能になる。さらに個別で、ブースト圧、燃調、点火時期、クーリングファン作動温度、スピードリミッター、等などが個別に変更できるので、ライトチューンユーザーのポン付けから、ミドルユーザーまでのニーズに答える事ができる。

まずはエンジンパワーを上げたいというニーズは大きいだろう。

本格的なサーキットユースに応えるアフターパーツ

車高調やブレーキパッドなどのサーキット走行で必要になるアイテムも多数販売されている。特に魅力的なのは、車高調がメーカー品だけではなく、メーカー品を多数テストして作られるショップオリジナル仕様の車高調もリリースされている点だ。

細かい仕様変更で、大きく性能が変わる車高調だけあって、チューニングショップが何度もテスト走行を繰り返した商品は、一般的な車高調よりもさらに車体の性能を引き出されてやすものや、一般道のストリートユースは無視して、サーキットのタイムに絞ったモデルなど、より個人のニーズにマッチした商品選択を行えるのが魅力だろう。

ホイール選びの注意点

ホイールのような一番最初にカスタムする人が多いパーツに関してもパーツは揃っている。しかしながら、一点注意点がある。それはホイールのサイズがかなり大きいことだ。

純正状態は以下の通りだ。

  • ホイールサイズ:19×9.5J
  • ホール数:5穴
  • PCD:120
  • インセット:60

リム幅が既に9.5Jもありタイヤ幅は256、純正採用や車重を考慮すると極太ともいえるタイヤが装着されている。

また、サーキットをガッツリ走るユーザーには19インチではタイヤのランニングコストが高いであろう。各ホイールメーカーから出ている18インチホイールにインチダウンをして、タイヤのランニングコストをさげるという選択肢もあるだろう。

ちなみにFL5のホイールを変えるときは、ホイールナットのサイズがフィットなどの他のHONDA乗用車とはナットが異なるので注意が必要だ。

ナットサイズ

  • M14×1.5
  • 22HEX(22ミリ)

マフラー選びの注意点

マフラーに関しては、オーナーの好みによってカスタムするかどうかが大きく変わるだろう。

マフラーは純正状態から手の込んだ作りとなっている。エンジンの回転数に応じてバルブが開閉することで、低回転も高回転もトルクとパワーのバランスをとった高性能なパーツが純正状態から装着されているために、性能向上だけをカスタムに求める方は、あとまわしで良いだろう。

しかしながら、音量に関しては、最新の音量規制を規制をクリアするために、とても静かなセッティングとなっている。

マフラー音に迫力を求める方は、アフターパーツへのカスタムが必須になるだろう。

まとめ

今回はサーキット走行を視野にいれている走り屋目線でFL5のカスタムの可能性を探ったがいかがだっただろうか。

普通の車は、パーツを社外品に交換して”速さ”を求めていくと快適性というのは段々無くなっていくことが多い。

しかしながら、FL5はノーマル状態からボディ剛性がとっても高く、サスペンションを固めていっても、しっかりとサスペンションが動いて、乗り心地が悪化しにくそうに感じた。

また、以前のシビックタイプRよりも快適装備もしっかりとしており、遮音性も悪くなかった。

とても素材として洗練されている印象だ。

しかしながら、環境規制の関係音もあり、往年のシビックのような音が無いなど、少々気になるところもあった。

しかし、カスタムを考えるとそういった改善点があるからこそ、カスタムする欲求が湧いてくるというのも事実だろう。

自分にとってどのようにFL5にしたいのか、どこでどのように車を走らせたいのか、是非後悔のないパーツ選びとカスタムをして、自分色に染め上げたFL5でドライブを楽しんで欲しい。