リヤディフューザーの効果とは?見えにくいものの効果的な整流パーツを解説

エアロパーツの1つとして高い効果を発揮するが見えづらいパーツがリヤディフューザーである。このリヤディフューザーには、どのような効果があるのだろうか。

この記事では、リヤディフューザーの主な効果を解説する。スポーツカーをはじめとする高性能車にリヤディフューザーが取り付けられている理由を知りたい方や、リヤディフューザーを取り付けてエアロダイナミクスを向上させたい方は、本記事を参考にしてほしい。

リヤディフューザーとは?

リヤディフューザーとは、ボディ後方の下部に取り付けられているエアロパーツだ。リヤタイヤ付近から車両の後端にかけて取り付けられているリヤディフューザーは、ボディ下部に取り込まれた圧縮空気をスムーズに抜くだけでなく、クルマの後ろ姿をスポーティにするドレスアップ効果も持つ。

エアロダイナミクスを向上させるリヤディフューザーは、日産 R35 GT-Rやランボルギーニアヴェンタドールなどのハイスペックなスポーツカーに多く取り付けられている。また、ドレスアップ効果を重視したリヤディフューザーは、アフターパーツとして数多く出回っている。

どちらの効果を狙うかはユーザー次第だが、走行性能を向上させたい方やエアロパーツの取り付けを考えている方は、見た目だけでなく、エアロダイナミクスが向上するかも考慮して取り付ける必要がある。

では、リヤディフューザーの主な効果について深掘りしていこう。

リヤディフューザーが生むダウンフォース

リヤディフューザーを取り付けると、ボディ下部を流れる空気がスムーズに抜け、無駄な空気抵抗が低減し、ダウンフォースを生み出す。

そのため、リヤディフューザーは高い速度域で争うレーシングマシンには必須アイテムである。また、高速域での走行を想定した市販車でもリヤディフューザーが取り付けられている。

リヤディフューザーの原理

クルマが走行すると、さまざまな抵抗を受ける。その中でも、大きな抵抗となるのが空気抵抗だ。この空気抵抗を低減し、空気の流れをスムーズにするのが、クルマの前方、ボディサイド、ボディ下部、リヤまわりに取り付けられる各エアロパーツである。

フロント、サイド、リヤ、ボディ下部に取り付けられるエアロパーツの中で、リヤまわりに取り付けられるのがリヤディフューザーである。リヤディフューザーは、ボディ下部に流入した圧縮空気を拡張しながらボディ後方に排出する役割がある。

ボディ下部に導かれた空気をリヤディフューザーで拡張することで、空気の排出スピードが高くなり、ボディ下部を流れる空気のスピードが向上する。その結果、ダウンフォースが発生する。

加えて、ボディ下部の空気の排出がスムーズになるということは、フロントまわりから取り込まれる空気がスムーズになることを意味する。そのため、無駄な空気抵抗が低減する効果も得られる。

空気の流入や圧縮された空気の流れをスムーズにし、速度を上げて空気を排出するリヤディフューザーは、見えにくいパーツだが、走行安定性に寄与する重要なパーツである。

リヤディフューザーの効果を最大限に発揮させるためにはトータルコーディネートが必要

ここまで、リヤディフューザーの効果を詳しく解説してきたが、リヤディフューザーの効果を最大限に発揮させるためには、リヤディフューザーの形状だけでなく、ボディ下部を流れる空気をスムーズにするフラットフロア、流入・乱気流を防止するフロントまわりのエアロパーツ、ボディサイドを流れる空気とボディ上部・下部を流れる空気を分離するエアロパーツやボディ形状がキーポイントとなる。

言い換えると、リヤディフューザーを取り付けると、リアまわりの空気の排出はスムーズになるが、リヤにたどり着くまでの空気の流れが乱れると効果を最大限に発揮できない。

つまり、ボディ後方の下部に取り付けられるリヤディフューザーは効果が大きいが、リヤディフューザーだけでは最大限の効果を発揮できない。そのため、リヤディフューザーを取り付ける際は、空気の流入から排出までトータルコーディネートする必要がある。

リヤディフューザーを取り付ける際の注意点

フロント・サイド・リヤ・ボディ下部のエアロパーツやリヤディフューザーを取り付ける際には、最低地上高に注意しなければならない。

後付けするエアロパーツの多くは、車両にパーツを追加するものである。つまり、フロントバンパーやリヤのボディ下部にパーツを追加するため、最低地上高が下がる。

最低地上高を下げるパーツを取り付ける際は、保安基準に適合するかを確認するだけでなく、段差やスロープの通過にも注意する必要がある。

そのため、リヤディフューザーを取り付ける際は、最低地上高と段差・スロープなどの通過に問題がないかを確認する必要がある。

リヤディフューザーは後ろ姿にも影響する

リヤディフューザーは、ボディ下部を流れてきた空気を拡張し排出する役割を持つパーツである。そのため、クルマを後ろから見たときのリアビューが変化する。

具体的には、傾斜がついたパーツやリヤディフューザーの空気の流れをコントロールする整流板(バーチカルフィン)の一部が見えるようになる。

そのため、むやみに樹脂パーツのリヤディフューザーを取り付けると、リヤビューの美しさが損なわれる可能性がある。このようなことから、リヤディフューザーのカラーや素材にも気を遣う必要がある。

リヤディフューザーのカラーとドレスアップ効果の関係性については以下のとおりとなる。

リヤディフューザーとドレスアップ効果一覧

  • 樹脂(素地)ブラック:落ち着きのあるカラー。チッピングが目立ちにくい
  • カーボン/カーボン調:スポーティなスタイルに仕上げられる。クリア仕上げになっているとチッピングが目立つ
  • ボディ同色:一体感あるスタイルに仕上げられる。チッピングは樹脂(素地)ブラックより目立ちやすい

※上記の関係性は一般論である。実際の印象はボディカラーとの組み合わせによって異なるため、リヤディフューザーを取り付ける際は、ボディカラーとの相性を確認した上で取り付けるべきである。

安定した走りを実現するポイントとなるリヤディフューザー

リヤディフューザーは、ボディ下部に流入した圧縮された空気をスムーズに抜く役割があるパーツであるため、無駄な空気抵抗の低減やダウンフォースの発生に寄与する。空気抵抗が低減し、ダウンフォースが発生すれば、安定した走りを実現できるため、走行安定性を重視する方に適したパーツである。

ただし、解説の中でも述べたとおり、リヤディフューザーを装着するだけで空気抵抗が低減したり、ダウンフォースが発生したりするわけではない。

リヤディフューザーの効果を最大限に発揮させるためには、空気が取り入れられるフロントまわりのエアロパーツ、ボディサイドに流れる空気とボディ下部に流れる空気を分離するサイドスカート、ボディ下部の空気の流れを整流するフラットフロアなど、空気の流れ全体をコントロールするパーツが必要となる。

現在所有しているクルマにリヤディフューザーを取り付けるか悩んでいる場合は、空気の流入と誘導が適切に行われる構造かを確認する必要がある。

リヤディフューザーを取り付ける際にクルマ全体のエアロダイナミクスを向上させたい場合は、リヤディフューザーだけでなく、フロントやボディサイドのエアロパーツも併せて取り付けるべきである。

また、速度が上がると発生しやすいリフト(車体を持ち上げる力)を無くして走行を安定させたい場合は、ボディ下部の整流とリヤディフューザーを整えるだけでも効果的だ。外装のカスタムを最小限にして安定した走行を実現したい場合は、アンダーフロアまわりとディフューザーに重点を置くべきである。

リヤディフューザーの効果を実際に体感するには、装着車両を運転してみるのが最善である。「おもしろレンタカー」では、リヤディフューザーを装着したスポーツカーや高性能車を取り揃えており、走行安定性や空力性能の違いを実感できる。購入を検討している方や、エアロパーツの効果を確かめたい方にとって絶好の機会となる。

まずは「おもしろレンタカー」の車両ラインナップを確認し、自分の目で見て触れてその効果を確かめてみるとよい。