フロントリップスポイラーの効果とは?取り付ける際の注意点も解説

クルマのエアロパーツの1つであるフロントリップスポイラーには、どのような効果があるのだろうか。

本記事では、フロントリップスポイラーの効果やフロントリップスポイラーを取り付ける際の注意点などを解説する。クルマのスタイリングをスポーティにしたい方や、フロントまわりの整流効果を向上させたい方は最後まで読んでほしい。

フロントリップスポイラーとは?

フロントリップスポイラーとは、フロントバンパーの下部に取り付けるスポイラーであり、フロントまわりの整流効果を向上させる。また、フロントリップスポイラーを取り付けることで、ドレスアップ効果も期待できることから、スポーティな表情を演出したいときにフロントリップスポイラーを取り付ける方も多い。

しかし、フロントリップスポイラーは、スポイラーの1つであるため、その本来の目的はフロントまわりの空気を整流することにある。よって、むやみにフロントリップスポイラーを取り付けてしまうと、クルマの空力性能が悪化する可能性がある。そのため、フロントリップスポイラーを取り付ける際は、整流効果を確認する必要がある。

さらに、フロントまわりだけでなく、サイドやリヤまわりの整流も調整する必要がある。もし、フロントまわりの整流効果だけを高めた場合、クルマのフロントまわりにのみダウンフォースが発生し、相対的にリアのダウンフォースが弱くなる。

クルマのフロントまわりのダウンフォースが強く、リアまわりのダウンフォースが弱くなると、前後のバランスが悪くなり、走行時に不安定になる可能性がある。そのため、フロントリップスポイラーを取り付ける際は、フロントだけでなく、サイドやリヤの空力性能も向上させるべきである。

では、フロントリップスポイラーの効果を深掘りしていこう。ここからは、フロントリップスポイラーの整流効果の原理とドレスアップ効果の2点について解説する。フロントリップスポイラーの取り付けを検討しているときは、ここで解説する効果を参考にするとよい。

フロントリップスポイラーによる整流効果

フロントリップスポイラーには、クルマのフロントまわりの空気の流れを整流する効果がある。

具体的には、次の2つが主な役割となる。

  • クルマのボディ下部に流入する空気を制限
  • ボディサイドに向かう空気のガイド

以下に、上記の2点の役割について詳しく解説する。

ボディ下部に流入する空気を制限する

フロントリップスポイラーを装着すると、ボディ下部に流入する空気とボディ上部に向かう空気を分離できる。

空気の流れを分離すると、フロントまわりの乱気流の発生を防ぐだけでなく、エンジンルームを持ち上げる空気の流れを抑制し、結果的にダウンフォースを得られる。

このような効果があるため、レーシングマシンやスポーツカーなど、走行性能が高いクルマにはフロントリップスポイラーが装備されている。

ボディサイドに向かう空気のガイド

フロントリップスポイラーは、フロントまわりのダウンフォースを得るだけでなく、ボディサイドに向かう空気をコントロールする効果も持つ。

フロントからボディサイドに向かう空気の流れは、フロントバンパーの形状も大きく影響するため、フロントリップスポイラーだけで効果を得られるものではない。しかし、フロントバンパーの形状とフロントリップスポイラーの形状がマッチすると、ボディサイドに流れる空気の流れがスムーズになり、整流効果が向上する。

フロントからボディサイドの空気の流れがスムーズになると、無駄な空気抵抗や風切音が低減し、走行が安定する。このような効果があるため、フロントリップスポイラーは安定した走行を求めるオーナーにも適したアイテムである。

フロントまわりのドレスアップ効果

フロントリップスポイラーは、フロントまわりの整流効果だけでなく、ドレスアップ効果も期待できるパーツだ。

フロントリップスポイラーが装着されていないクルマと、フロントリップスポイラー装着車を比べると、フロントまわりの印象が大きく異なる。フロントリップスポイラーが装着されると、ボディ下部のワイド感が強調され、安定感あるスタイルに変わる。また、シャープさやエッジの効いたスタイリングへの変化も期待できる。

また、ボディカラーとフロントリップスポイラーのカラーの組み合わせによって、フロントまわりの印象が大きく変わる点も重要である。

例えば、ホワイトのボディカラーにピアノブラックのフロントリップスポイラーを装着すると、引き締まったスポーティなスタイルに変化する。一方、ボディ同色のフロントリップスポイラーを装着すると、一体感のあるスタイルを楽しめる。

このように、ボディカラーとの組み合わせによって、そのクルマの印象が変わるのがフロントリップスポイラーというエアロパーツだ。

ここでは、フロントリップスポイラーのカラーとドレスアップ効果の関係性をまとめて紹介する。

フロントリップスポイラーのカラーとドレスアップ効果の関係性

フロントリップスポイラーのカラーがクルマの印象に与える影響をまとめて紹介する。

フロントリップスポイラーのカラーとドレスアップ効果一覧

  • ピアノブラック:締まりのあるスポーティなスタイル
  • ボディ同色:一体感あるスタイル
  • ボディ同色パーツにメッキのアクセント:エレガントでありながら一体感もあるスタイル
  • マットシルバー:スマートで上品なスタイル
  • 樹脂(素地)ブラック:落ち着きがあるスタイル

※上記の関係性は一般論である。実際の印象はボディカラーとの組み合わせによって異なるため、フロントリップスポイラーを取り付ける際は、ボディカラーとの相性を確認した上で取り付けるべきである。

フロントリップスポイラーを取り付ける際の注意点

フロントリップスポイラーを取り付ける際は、気をつけなければならないことがいくつかある。ここでは、フロントリップスポイラーを取り付ける際の注意点を3つ紹介する。

まず、フロントリップスポイラーを取り付けるときは、最低地上高が保安基準に適合しているか確認する必要がある。フロントリップスポイラーは、フロントバンパーの下部に取り付けるパーツだ。つまり、最低地上高が下がることになる。そのため、フロントリップスポイラーを取り付ける際は、最低地上高が保安基準に適合しているか確認する必要がある。

次に、フロントリップスポイラー装着後は下がった最低地上高に気をつけて運転しなければならない。フロントリップスポイラーはフロントバンパー下部に取り付けるパーツであるため、最低地上高が下がる。

その結果、フロントリップスポイラーを装着する以前に気にする必要がなかった段差やスロープでフロントリップスポイラーを擦ってしまう可能性が高くなる。特に、標準状態で最低地上高が低いクルマにフロントリップスポイラーを取り付ける際は注意が必要である。

フロントリップスポイラーを取り付ける際は、最低地上高がどの程度下がるのかを事前に確認しておくべきである。

最後に、フロントリップスポイラーは整流効果を高めるパーツである点に留意する必要がある。前章でも解説したとおり、フロントリップスポイラーは、フロントまわりの空気を整流し、ダウンフォースを発生させる効果がある。

そのため、フロントリップスポイラーのみ取り付けると、相対的にリヤまわりのダウンフォースが弱くなり、タイヤの接地圧が希薄になる可能性が高い。そのため、フロントリップスポイラーを取り付ける際は、ボディサイドのエアロパーツ(サイドスカート)やリアの整流効果を向上させるアイテム(リアウイングやディフューザーなど)も併せて取り付けるべきである。

可視化が難しいものの効果が大きいフロントリップスポイラー

ここまで、フロントリップスポイラーの整流効果やドレスアップ効果、フロントリップスポイラーを取り付ける際の注意点などを解説してきたが、フロントリップスポイラーの主な効果であるフロントまわりの整流効果を可視化するのは難しい。

解説の中でも述べたように、フロントリップスポイラーの効果を最大限に発揮するためにはフロントバンパーの形状が影響するため、取り付けただけで確実に整流効果が向上するとは断言できない。

整流効果が高い形状のフロントバンパーに整流効果を高めるフロントリップスポイラーを取り付けると、効果は最大限に発揮される。フロントリップスポイラーの効果を最大限に発揮できれば、安定した走りやフラつきを抑制し、よりドライビングを楽しめる。

現在所有しているクルマにフロントリップスポイラーを取り付ける際は、クルマのフロントバンパーの形状とフロントリップスポイラーの相性を確認してから取り付けるべきである。また、ボディカラーとフロントリップスポイラーの組み合わせを確認し、好みのスタイルに仕上げられるかを確認することも重要である。

また、フロントリップスポイラーと併せて整流効果を高めるサイドスカートやリアウイング・ディフューザーなどを取り付けると、クルマ全体のコーディネートが整い、走行安定性が向上する。

フロントリップスポイラーをきっかけにクルマ全体の整流効果を向上させ、見た目も走りも満足できる仕様に仕上げるべきである。

フロントリップスポイラーの効果や魅力に興味を持った方は、実際にその整流効果やスタイリングを体感してみるのがおすすめである。「おもしろレンタカー」では、フロントリップスポイラーを装着した車両を含め、さまざまなスポーツカーやカスタム車をレンタルすることができる。

購入を検討している方や、愛車のカスタム後のイメージを確認したい方は、ぜひ「おもしろレンタカー」を利用して、その走行性能や見た目の変化を直に感じてみるとよい。